ロジパラEXT

□魔女の感慨
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駿河愁水。旧き救世主。
少女のような姿とは裏腹に
悪意と同等か、それ以上。
悲しみを捻り潰す事を趣味とし
多くの悲嘆に手繰り寄せられては
そこに安寧と終止符を与える者である。




『可哀想なおちびさん。生き残ってしまったんだね』


『・・・』


『街は焼け野原。街の人達は、お前以外、殲滅された。もう、戦地で、お前が生きられる術は無いよ』


『・・・』


『私は愁水。お前は?』


『・・・まこと』


『まことか。ねえ、まこと。お前は、野垂れ死ぬのと、生き長らえるのどちらが幸せだ?』


『?』


『生きたいか、それとも家族の元へ行きたい、か』


『・・・』


『私は、縁を大事にする。この邂逅に意味があるとしたら、私は、あらゆる面において、非力に劣るお前を庇護する側にあるべきだ。お前の願いならば叶えてやるよ』


『・・・』


『ほら、見ろ。教会が焼けている。悲しいな。雨とは違って、赤々と揺らめく炎には、慈悲の欠片もない。ただ全てを食らいつくす。蹂躙することしか知らないのさ』


『・・・』


『まこと、お前は、生き残ったんだ。死ぬべきか。生きるべきか。選んでいいんだよ。その権利を渡されたのさ』


『・・・だれに?』


『万物の王。人が神と讃えるものか或いは、必然と呼ぶ者に』


『・・・』


『もちろん、保留もいいさ。お前が望むならば。ただ、その先なれば、お前は一人で決めなければならない。私はそこまで優しくないんだ』


『・・・・』


『だが、ひとつ教えておこう。無に堕ちた時には、必死に願う事で次の道が開けるんだよ』


『・・・・・』


『お前の救いとはなんだ?』


『生きたい』


『───ほう、』


『だって、だって、みんな消えちゃったよ、とうさんも、かあさんも、いもうとも、みんな…っ!!』


『そうだな』


『み、んな、焼け・・・て、おれだけ、ひとりで・・・っ』


『極まるのも無理は無いが、泣くな。泣くと悲しくなる』


『───生きたいっ、生きたいよ、おれ!! 生きて、そして・・・』


『可哀想だな、まこと。眼がまるで鬼のようだ。絶望を宿してる。だったらおいで。私がお前を強くしてあげるから』




旧き救世主は気紛れだったが
時には無償で慈悲をばらまいた。
彼女にとってそれは、ほんの些細な
“ボランティア”だった。



[それは旧き救世主の話]



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