ツガイドリ

□思い募れば
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─Dependence is akin to love─




『あー、超痛ぇ。マジ痛ぇ。アイツら。マジむかつくわ』



『切れた所は、少し良くなったみたいですね』



『サクラー』


『はい』


『慰めろ』


『はい』


ベッドサイドに座ってるサクラの脚に
頭を預けると。子供をあやすみたいに
胸をトントンと叩かれた。
断罪者の糞野郎は加減を知らねぇのか
力任せにやりやがって
お陰で身体中、傷だらけだ。
当たりどころが悪かったのか
右目はガッツリ腫れていて眼帯必須。
包帯だらけで、動きずれぇし
医者には暫く安静にしてろと言われたが
性分的に無理な話だ。
部屋で大人しく、ってのは柄じゃねぇ。
見上げたサクラは、微笑んでいて
でかい眼でじっと俺を見つめてる。
『見てんじゃねぇよ』と目を瞑ると
頭をふわりと撫でられた。
振り切れそうだった憤りが
静かに引いて行くのが判る。
俺の髪を撫でながら
『あまり怒らないでください』と
そのまま、唇を落として来る。
『妬いてんじゃねぇのか?』と問えば
『貴方は。私を捨てませんから』と
自ら。舌を滑り込ませてくる。
大胆かつ、淫靡。雌の匂いを纏って
儚くも咲き乱れる、俺だけの桜。



『ん・・・』



『でも、イザヤ嫌いだろ、お前』



『・・・』



『いつも言ってあった筈だ。アイツにだけは。ナイフを向けるなって。アイツは俺とおんなじ。クズだ。敵に対して躊躇いを知らねぇ。慈悲の欠片もない男だぞ』



『・・・だって』



『まあ。いい。過ぎた事だ。俺を守るのもいいが。俺の狩りで、お前がヤラれちゃ堪ったもんじゃねぇ』



『ごめんなさい・・・』



『必死なのは、いいんだけどよ』


しおらしく眉を下げたから
手を伸ばして頭を引き寄せた。
しつこく互いの舌を舐め合いながら
形のいい胸に指を這わせる。
服の上から何度か撫で回すと
熱っぽく、甘い声で鳴くから
嗜虐心を焚き付けられちまう。
『欲しかったらどうすんだ?』と
投げかけてやれば。顔を赤らめて
自ら服を捲り上げる。


『触って、ください・・・』


羞恥に悶えながら露出された肌は
少し赤く熱帯びている。
上半身を倒して
舐めてくれと言わんばかりに
差し出された胸を、望み通りに
口に含んでやると
とびきり甘ったるい声を出した。
いいね、上々だ。やっぱり。
コイツと遊んでる方が具合はいい。



『ん、んっ・・・』



『腰、揺れてんぞ。淫乱』



『ひぁっ・・・あっ、気持ちよくてっ』


舌使いには自信がある。
強く吸い上げては、緩く舐めまわして
その繰り返しで、馬鹿みたいに喘ぎ鳴く。
『すぐ濡れんだろ、お前』と
底意地悪く笑ってやりゃ、涙目に頷く。
俺の頭を抱えて押し当てられた肌を
余す事は無く、堪能する。
舌で指で、執拗に嬲り倒すと
身体を震わせて大きく息を吐いた。



『サクラちゃんの変態〜。こんなんでイッちゃうの? 早くねぇか、おい』



『ヤ、ヤヨイ様が・・・』



『何だよ?』



『・・・っ』



顔を赤くして、何か言いたげに
視線を合わせてくる。
その表情が可笑しくて
だけど妙にエロくて。まあ、俺を煽る。
余裕は、そこそこ。
興奮してないかって言われりゃ
ノーとも言えない男の性。



『もっと気持ち良くなりたいって?』




『・・・はい』




『怪我人に無理させんの、お前?』




『・・・・』



それで、十分。伝わるから楽でいい。
サクラは俺をベッドに押し倒すと
恥ずかしそうに俺のベルトを外して
いきり立つソレを恐る恐る嘗めた。
『慣れねーなあ、お前も』と
ぎこちない舌使いに苦笑う。
ただ、その縋るように
懸命で、必死な奉仕に
込み上げるもんがある訳で。
涙目で、苦しそうに頬張ってる様は
他の野郎に見せたくねぇなと思うぐらいには
お気に入りのシチュエーションだ。
俺にぶち込まれたくて一生懸命。
健気ってんだろ、こーゆーの。



『んぐっ・・・』


『サクラ、もういい』



『や、も・・・少し・・・』



『いいから。挿れろ』



『・・・、はい』



名残惜しそうに、吸い付いてから
跨がりゆっくりと腰を下ろした。
俺を食いたくて、涎を滴らせた下の口は
何の抗いもなく、深くまで咥え込んで
人を丸呑みにしようとする。
何度か慣らして、あとは
一気に打ちつけた。
下から突かれんのが好きなサクラは
恍惚に狂ったよう自らも腰を振る。
いつも以上に、乱れ咲く。
俺に嫌われまいと
決して口には出さない
嫉妬を匂わせながら。
いいね。そんぐらい強かな方がいい。
顔に出さず、言葉に出さず
ただただ俺に執着して
俺だけを望んでりゃいい。
『にしても、激しいけどな』と囁いて
少し乱暴に中をかき回した瞬間
反り返って身体をガクガクと震わせた。
倒れ込んで来た身体をしっかり抱き寄せて
更に強く打ち付ける。ぎゅうぎゅうに
締め付けられながらも無遠慮に。
サクラは小さく何度も鳴きながら
おかしくなりそうだと俺に爪を立てる。



『俺まだイッてねぇんだよ』



あとは。なんつうかもう俺の独り舞台。
そうなると、サクラは大体
気を失ってるが。知った事じゃねぇ。
イザヤを物に出来なかった腹癒せと
イザヤより、コイツの方が遥かに
可愛げのある生き物だって
思いたい自分と。なんかもう
色んな感情の詰め合わせだが
寝てようが、気を失ってようが
不意に、その唇にキスをしたくなるのは
多分、ちょっと他とは違う
『何か』があるからなんだろうけど。
その感情に名前を付けちまうと
結構面倒臭い事になりそうだから
『性欲』で片付けておく。今は。





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