猫は煉獄で夢を見る
□零の世界にて
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─memory×6─
『───ちょっとラグ!! アンタ、試作品910どこやったのよ!!』
『げ、ファルター・・・』
『この間、うちから持ち出したっきり返してくれてないわよね?! 何に使ってるの!?』
『・・・えーと。なんだ、あのー・・・フライハイト、パス』
『え? 俺にパスされても。話が見えないよ、ラグ』
『あたしが趣味で作ったワールドマップナビゲーションシステムの試作品910をラグが持ち出したっきりで返してくれないの』
『あはは。泥棒じゃないか』
『だから、いい加減返しなさいって言ってんのよ』
『それは怒っても仕方ないねぇ。ラグ、言い訳は?』
『まだ使ってる!』
『だってさ。どうだい、ファルター。納得した?』
『するわけないでしょ!? あれは試作品よ? まだ完成してないものを多用するのは良くないわ』
『でも、使えてるぜ? なかなか便利だ』
『ラグ、アナタ。一体あれを何に使ってるの? 履歴を見る限り。行く所、行く所で、何か探してるみたいだけど・・・』
『まあ、ほら。俺も色々あるんだよ。そこは勘弁してくんねぇか、ファルター。悪いようにはしないし、今度必ず、穴埋めするから。もう少し貸しといてくれ』
『・・・、アンタも胡散臭い男ね。フライハイトやノインといい勝負よ』
『え、ファルターから見て、俺は胡散臭いのかい? ノインならまだしも俺が?』
『この戦艦内では。アナタが一番胡散臭いわよ、フライハイト』
『え、ショック。上手くやってると思うんだけどなあ』
『ノインは胡散臭いっつうか。ゲームばっかやってるから、よく判んねえって感じだけどな』
『だってアイツ。目の下凄いじゃない。クマ。四六時中ゲームやってたからってレベルじゃないわよ、あれ。顔色も悪いし死ぬんじゃない?』
『まあ、そーゆー顔なんだから許してあげなよ。本人が聞いたら傷つくよ、きっと』
『笑ってんじゃねえか、フライハイト』
フェリスと遊ぶのに飽きたから
艦内をお散歩する。
同じ所を行ったり来たり。
ラグ達は何だか楽しそうに話してたし
試作品がどうとか難しい話をしてたから
僕は、その横を素通りして
地下に降りてった。
奥のソファーでは、まだノインが
ゲームをしてる。
他にやることがないのかな?
『・・・、ネコ』
『!?』
遠目にノインを観察していたら
後ろから背中を撫でられた。
驚いて振り返るとシュバルツが
屈んで手を差し出していた。
構って欲しいのだろうか?
僕は少しだけシュバルツと遊ぶことにした。
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