ロジパラEXT

□ロクデナシ戦線
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[犬神さんと芝祈さん]




愁水、下北沢、魔王と来て
次にやってきたのは─────




『どーもでやす』



『・・・これはこれは。その節は』



『お身体の方は大丈夫そうでやすね。死神ならば自己治癒力も高いかと』



『・・・』



『そういえば、ご挨拶がまだでやした。私め、芝祈烈将と申しやして。此処で愁水の右腕をやっとりやす』



『ああ、貴男が芝祈さんでしたか。お噂はかねがね。色々な場所で暗躍されておられるようで。時幻党の芝祈さんと言えば。愁水さんと同じぐらい名を馳せておられます。危険人物として』



『趣味で人助け等してやして。その都度、敵は変わるものでやすから。被害を被った方からは、そう呼ばれるでしょうね。まあ弱きを助け強きを挫くって奴でやす』



『・・・だから私も助けた、と?』



『違いないでやす』



『・・・・・』



『余計な真似をしたと思われてるのは承知の上でやす。アナタは死にたかったのでしょう。イノセさんにやられたなんて屈辱も屈辱でしょうから。私めも正直迷いやした。どちらがアナタにとって救いであるか。何を優先すべきか。けど、瓦礫に血の海、死に損ない。惨憺たる光景の中で浴びせられる女神様からの罵詈雑言から導き出せる正解なんぞ、一つしかありやせんでした』



『・・・そう、でしたか』



『私めがアナタを死なせる理由も、アナタが其処で死ぬ理由も無かった。それだけの事でやす。私めは優しくありやせんので時に傷つける事もありやすが、まあ。結果オーライとして頂けたら幸いでやすね』



『───けれど。彼女は。ヘカテーは。きっと貴男と私を許さないでしょうねぇ・・・』



『ええ。とても怒ってやしたから。とは言っても愁水に比べれば可愛いものでやすが』



『きっと報復に来ますよ・・・いずれ。彼女はプライドを傷つけられる事に耐えられない。異常なまでにね。そうなった時には、どんな手を使っても必ず復讐を遂げる。そう言う方です』



『構いませんよ。いつでも。誰が相手だろうが私めは死ぬ訳にいきませんのでね。私めの信ずる平穏を乱すと言うなら、叩き潰しやすよ』



『・・・芝祈さん。貴男は、不思議な方ですねぇ。魔物特有の強い殺気を纏っているのに、何故か心穏やかだ』



『此処には、沢山。守らなきゃならないものがあります故。闘争や血肉に沸き立つ心も持ち合わせておりやすが、それよりも平和がよろしい。私めは家族で賑やかに食事をするのが好きでやす。蹂躙する事よりも、その平和を守る事の方が有意義だと思ってやす』



『・・・、メフィストフェレスとは真逆の考え方をお持ちなのですねぇ・・・歪な魔物が人を愛そうとは。感服致しましたよ』



『いいえ。魔物としてはポンコツだったので人間を真似ているんでやす』




『・・・、貴男のように物事を考えられたら、私も彼女を正せたんでしょうかねぇ・・・彼女のプライドを満たす為に彼女の言いなりになるのではなく彼女を想うのなら───』



『私めは愁水に逆らって怒られてばかりでやすから、これはこれで多分悪いお手本なのでしょう。たまにひっ叩かれやすから』



『───羨ましいですよ、貴男が』



『・・・・さっき、下北沢さん達と廊下ですれ違ったのでやすがね、アナタが元気になったって。喜んでいやしたよ』



『ヨルムンガンドが?』 



『ええ。それはもう満面の笑みを湛えて。これからミスターの部屋に行くって優人君とキャッキャしながら走っていきやしたけど。いやあ、賑やかでいいですなあ、子供が増えたみたいでやす』



『・・・貴男の言う“平和”ですか?』



『ええ。己が本能に目を瞑ってでも守る価値のある世界でやす』




『───────・・・』




『アナタの世界は選択ミスでイノセさんによって破壊された。唯一の救いはコンティニュー可能だった事でやす。このまま続きから遊ぶのか、これを機に最初からやり直すのか。選ぶのはアナタですよ、犬神さん?』



『私には難しい選択ですよ、本当に───』




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