短編

□ある日の体育委員会
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 「滝夜叉丸先輩、遅いですね〜」

 「いつも時間は守れって煩いくせに…」

 「何かあったんでしょうか…?」

 授業が全て終わった後の校庭に、並んで座り込みブツブツと文句を言う三つの影

 その前には、目を閉じ静かに耳を傾けている影が一つ…

 「七松先輩、もう始めちゃいましょうよ〜」

 「まだ滝夜叉丸先輩が来てないのに…」

 「来てない方が悪い…」

 「次屋先輩…心が狭いです……」

 「!!」

 今日は月に一度の委員会の日。
 授業終了がいつもより遅くなった為、クタクタの下級生達は、早く帰りたくて言い争いを始めていた…
 そんな後輩達を前に、“七松”と呼ばれた少年は、ゆっくりと目を開き…

 「よし!!」

急に立ち上がった…
 後輩達は、突然発せられた言葉に期待し、振り返る。
 しかし、七松の口から次に発せられた言葉は、後輩達を奈落の底に蹴落とすようなものだった…

 「バレーボールをするぞ!!」

 「「「は!?」」」
 「何もせずに待っているからイライラするんだ…と、いう訳で!バレーボールをして気を紛らわせるぞ!!」

 「「「はぁぁぁぁ!?」」」

 「ほらっ行くぞ!!」

 呆然としている後輩達に、容赦なく焙烙火矢を構える…

 「なっ!?七松先輩!!せめてボールでやりましょう!!」

 後輩のもっともな言葉に不服そうな表情を見せるが、

 「滝夜叉丸先輩に怒られちゃいますよ!!」

の一言で、渋々、焙烙火矢からボールへと持ち替える。
 後輩達がホッとしたのも束の間…
 「いけいけどんどーん!!!」

 いつものかけ声と共に勢い良く飛んでくるボール…

 「「つ、次屋先輩。レシーブお願いしますっ!!」」

 無理だと早々に諦めた一年生の金吾と二年生の時友が、先輩である“次屋”という少年を盾にしながらボールから逃げていく。

 ところが、ボールは次屋の遥かに横をすり抜けていく…

 皆がボールの行く先を見守る中、何が起こっているかも知らず急いで走ってきた滝夜叉丸の顔面にぶち当たった…
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