短編

□貴方の隣
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 あの人はどうして…

 私の事を好きだと言いながら、他の者の名を呼ぶのだろう…

 どうして
私の事を抱いたその腕で、他の者を抱くのだろう…

 あの人は、一体何を考えているのだろう…

 私の気持ちは、私の心は

 お構いなしですか…?

 先輩は…私が苦しんでいる事に、少しは気付いてくれていますか?



 私がいない時間をどの様に過ごしているのか…貴方の噂は嫌でも耳に入ってくる…

 「この間は、町娘の相手をしたのでしょう?…その前はくノ一教室の生徒。“女は体力が無くて詰まらない”と忍たまにも相手をさせたとか…」

 言いながら、少し笑ってみせる…

私が居なくても、貴方の隣には常に誰かが居て…
貴方はそれを隠そうともせず、悪びれもせず、いつも通りに笑うのですね…


 無邪気すぎる貴方の“心”は、どこに在るのですか?

 どうすれば…
センパイをワタシだけのモノにデキルノデスカ…?

 先輩と同じように、私も常に誰かを隣に置いていれば…

  少しは妬いてくれますか?



   どうしても
 私が望むモノが
手に入らないモノだというならば……

二度と惑わされ無いように
貴方の側を離れ
貴方の事を忘れ
忍びとして…
独り静かに
朽ち堕ちる事を選びます……


 貴方はきっと……
私が居なくなっても…
少しも気にとめず
また、誰かを側に置くのでしょうね…。



-end-

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