あの夕日に。

□伍。思う事
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夢主の思い。と、悩み。
夢主視点。





私が"この世界"に来て、数日がたった。

私がこの世界の住人では無いことはこの数日でわかったのだが、

帰る術が、分からない。

私は平成の時代に住む雨宮千鶴であって、戦国の時代に住む雨宮千鶴ではない。

私がこの世界に存在することによって、歴史が変わるとする。

歴史が変わったら。

もしかしたらだが、"私"は存在しないかもしれない。

"私"という存在が消え、皆の中にある私の記憶は消えてしまうかもしれない。


そんなのは、御免だ。


私には夢があるし、なにせよまだ皆と別れたくない。

だから、私は一刻も早く。

私の場所に帰りたい。
私の、居場所に。

ここには私の場所を作ってくれる人がいる。

でも。

本当の居場所は此処じゃない。

もし、

私が平成からトリップしたなんて聞いたら。

皆は、どんな反応をするのかな。

嘘をついていた。って、嫌われるかな。

この城から、追い出されちゃうかな。

…何処かの間者って思われて、殺されちゃうかな。


…怖いなぁ。


この土地で皆に捨てられちゃったら、私はどうやって生きていけばいいんだろう。

すぐに死んじゃうな。

死ぬのは、嫌だなぁ。


なんか悲しくなってきた。


だから涙は嫌いなんだ。

すぐにバレちゃうから。


政宗さんや、

小十郎さんには。


いつか絶対、

『実は南蛮からの使者じゃない』

っていいたい。

『未来から来た』

っていいたい。


信じてもらえなくていい。

自分を助けてくれた人に、嘘はつきたくないから。


いつかきっとこんな時がくるだろう。

いわねばならぬ時が。

きっと…。

それまで、

黙っていてもいいよね?


ねぇ、神様。

私に、振り向いてくれますか?

私に、少しばかりの優しさをくれますか?

ほんの少しだけでいい。

この世界に、

私の"居場所"と"笑顔"を下さい。




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