〜表〜
□危ない君
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『んでー今回はどうしたの?』
「ジャージを貸して」
『朝持って来てなかった?』
「どっか行っちゃったの」
ジャージが無くなったというのにのん気な幼なじみの◯◯
違うクラスだからということでサイズは合わないがジャージを借りに来たらしい
昔から俺と同じでマイペースだった
ただ◯◯は危なっかしい
高校に入ってから何かと物を無くしたり、すぐに怪我をしたりと目を離していられない
だから俺が部活の無い日は一緒に登下校をしている
「あの子の保護者みたいだよな」
『そーかな?越野は俺の保護者だよな』
「お前なぁ!!でもあの子前髪で目が見えないよな」
『そろそろ前髪切ってやるかな』
「仙道が髪切ってんのか!?」
越野がふと◯◯の前髪が長いと指摘をする
(そーいえば高校入ってからあんまり前髪切ってないな)
◯◯は前髪を切るのが苦手で、いつも俺が切っていた
お前ら兄弟かよと突っ込まれれば一緒に暮らしているしねと越野に答える
同棲してんのか!?とも騒がれてしまう
俺が東京から神奈川に行くと言えば付いていくくといって一緒に来た
それで◯◯の両親が怖いから同居してほしいとなり今二人で暮らしている
まぁ男女のお付き合いをしているわけではないから残念なんだけどね
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『ただいま』
「お帰りーお風呂沸いてるから先入って」
『はいはい』
準備が早いのか下着とバスタオルを渡される
ここまでの付き合いになると恥じらいとかなく過ごせるから楽だ
危なっかしいけど◯◯はいい嫁になるよ
『あれ、指どうしたの?』
「縫い物してたら刺した」
風呂から上がればご飯が準備されており、二人で手を合わせ食べていた
すると相手の手元を見れば絆創膏が貼ってあった
服が破れていたらしくそれを直していればこうなったと言った
『細かい作業は俺がやるよ?』
「これ位大丈夫だよ」
『ならいいんだけど、あっご飯食べたら前髪切ろうか』
◯◯の学校の時とは違いあげている前髪を見て昼の事を思い出す
しかし、◯◯は切らなくていいと言い始める
前まではお願いとすぐに言われるのに
不思議だったけれど本人がいいと言うなら別にいいか
晩御飯を済ませて俺は洗い物をした
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「お前さ」
『ん?』
「幼馴染ちゃんのどこまで知ってんの?」
『小さいころは風呂一緒に入ってたからそこまで知ってるけど、あっキスはまだ・・「そういう意味じゃねー!!」じゃあなんだよ』
◯◯とお風呂に入っていたと言えば、ウブな越野は顔を赤くする
しかしすぐにそういう意味じゃないと否定される
どういう意味かと聞けば「いや、知らないならいいわ」と言われてしまう
◯◯のどこまで知っているか・・・?
正直な話、越野よりは熟知してるつもりだけど
だって◯◯の好きなもの嫌いなものはもちろん、食事の食べる順番だとか、好きな歯磨き粉の種類とかも知ってる
(好きなタイプだって・・・待てよ、それは知らないや)
もしかして◯◯に彼氏ができたとかそういうのなのか
今までそういうのを聞いたことがないためにどうしたらよいのかがわからない
本人に直接聞いてもし真実なら俺はめちゃくちゃショックだし
というか一緒に暮らしているからと言って油断していた俺が悪いのかと考え始めてしまう
居てもたっていられなった俺はとりあえず◯◯の元へと向かう
まだ予鈴までは余裕があるし、大丈夫だろうと考える
ちょうど◯◯が教室から出ようとしているところで呼ぶ手間が省けた
そう考えていたら目を疑った
なんと誰かに足を引っかけられて◯◯が転んでいたのだ
◯◯は◯◯でまたかというような顔をしているし
(もしかしてイジメられてる・・・のか)
心配になり近づこうとすると女子に「放課後、体育館裏に来いよ」と耳元で言われていた
ただ、その言葉にコクンと頷く◯◯
『◯◯、大丈夫?』
「彰、ただこけただけだから大丈夫」
『何もないところでこけるのは◯◯らしいけど、気を付けてよ』
とりあえず何も見ていなかったフリをして立たせる
体育だからと言ってありがとうと微笑み体育館へと行ってしまう
(◯◯・・・)