〜表〜

□9年目の正直
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『宮城ー!あんたまた弁当忘れたでしょ!!』
「あ、いつもわりぃーな!さんきゅー」

夏休み中の勉強会に参加しようと学校に来ていた私

それを知った宮城の母にお弁当を持たされ、バスケ部の練習で学校に来ていた宮城にお弁当を渡す


「◯◯さんって本当にりょーちんと付き合ってないんすか??」
『宮城と?ただの配達人だよ。それに私のこと宮城は・・・女だと思ってないから』

このように忘れ物を渡しに行き過ぎてすっかり顔なじみになった一つ年下の桜木君にそういわれるも否定する


「お前だって俺のこと男だと思ってねーだろ!」
『あったり前でしょ!誰が宮城を男扱いするかー弟みたいだね!忘れ物よくするし!』

茶化してから勉強会の行われる教室へと向かう


忘れ物を届けることのきっかけになったのは9年前に神奈川に引っ越してきて宮城のクラスに転入した時だった

「お前、不細工だな」


緊張し過ぎて喋れないだけなのに隣の男の子にそう言われて本当泣きそうになったのを今でも覚えてる

ランドセルを持ち、帰る準備をするとふと何かが落ちていた

〈みやぎりょーた〉と書かれた靴の入った袋だった

幼い私はみやぎりょーたって誰だろうと思い担任の元へ行く

すると「あぁーリョータ君ね、たしか★★ちゃんのお家隣よ!」と家が隣だから届けてほしいと言われる

幼い私は担任に言われるがままに届けに行くことに

知らない子に忘れ物を渡しに行くなんて怖いことをしなければいけないのだろう


「わざわざありがとうなぁ!」

届けに行けば私に不細工だといった少年だったがあの時とは違い無邪気な笑顔でお礼を言ってくれた

ちなみに靴はバッシュと呼ばれる物で、バスケをする人には必要だったらしい

それからというものその少年宮城と話すようになり、現在に至る


んでよくある話なわけで、私は宮城が大好きだ

それも異性として

あのお礼を言ってくれる笑顔に惹かれていって気づいたら好きになっていた


今まで、9年間この思いは打ち明けずにいた


理由は二つ、

不細工と言われ自分に自信がなかった

彩子さんを好きだから


これを踏まえた上で今日、告白しようと思う

もう9年経つ、こんな叶わなくてつらいのならさっさと振られてしまいたい

今日は宮城の誕生日だから呼び出す口実にプレゼントを渡したいとかをいうつもりだ


『宮城さ、一緒に帰ろ』
「おーいいぜ」

勉強会が終わった後に誘いに行けば、ちょうど部活も終わったみたいで学校を後にする

しばらくしても他愛もない話ばかり

結果はわかっている、振られるなんてわかっているのにどうしても言えない

スッキリするために決意したのに

宮城に誕生日プレゼントを渡し、おめでとうと伝えると私の大好きなあの笑顔でニコニコ笑う


『宮城、聞いてほしいことがあるんだけどいい?』
「ん?」

大きく息を吸い話し始める


『ほら、私さ転入してきたじゃん?』
「してきたな」
『んで、緊張して暗かったじゃない?そんときに宮城がさ、忘れ物にしてそこから仲良くなって今までこうして忘れ物渡してきたじゃない?』

やばい泣きそう、頑張れ私

宮城は黙り込んでちゃんと聞いてくれているし

目から雫がたれそうになるが我慢をする


『今までずっと忘れ物渡して仲良くしてて、ありがとうっていう宮城の笑顔が好きで、、そこからどんどん宮城を異性として好きになったの。宮城が彩子さんを好きなのはわかってるから!別にお付き合いとかはいいから、、、ね』
「んなこと、いうなよ」

困らせるようなこと言ってごめんねと謝り涙がでできてしまってバレないように拭いていれば腕を掴まれる


「★★の言うとおり、俺は彩ちゃんのことは確かに好きだよ。そんなに泣きそうな面すんなよ」

宮城がなにを言いたいのかがわからない

好きな人に好きな人がいるってわかってるから泣きそうなのに

振るなら早く振って欲しい


『宮城、、優しくしないで』
「最後まで聞いて」

優しくされたら未練が残ると思いやめてと言えば真剣な声でこっちを向けと言わんばかりに顔を宮城の方に向けられる


「彩ちゃんのことは憧れの意味で好きだ、負けそうな試合でも諦めずに応援してくれるそんな彼女みたいになりたいってね。まずそこは理解してくれるか?」

私のことを落ち着かせようとしているのか目を見て納得させるように話しかけてくれる

そんな宮城の姿をみて頷く


「俺が忘れ物をしてたのも、本当に忘れた日もあるけれど実はわざと忘れてた。なんでかっていうと★★に会いたいから」

一瞬自分の耳を疑う、私に会いたい?いや違う聞き間違いだ


「その顔は信じてねーな。お前と同じ高校に入れて本当に嬉しかった。でも違うクラスになっちまうし、俺から行く勇気はなかったからじゃあ来てもらおうと思ってそうしてた。なんでここまでするかわかる?★★の事が好きだからだよ」
『嘘でしょ!だって宮城私のこと不細工って!!言ってたじゃん!!』
「んな!いつの話してんだよ!あれは俺が話しかけてんのに無視したからだ!!」

ムキになって言ったんだよと言われ、本心で言ったわけではないと分かり少しほっとする

待てよ、ってことは


『私と宮城って両想いだったってこと?』
「まぁそうなるな」
『それなら私先に告白されたかった!』
「んな無茶いうなよ!いう勇気なかったんだからよ」

普段の負けん気強い宮城とは違い照れくさそうにいう

そんな彼にときめくから本当にこの馬鹿の事が好きなんだなと考える


『本当フラれるかもって泣いて馬鹿みたい』
「俺は嬉しかったけどなー今年は最高な誕生日だよ。こんな可愛い彼女ができて」
『か、可愛くないし!』
「そういう素直じゃないところが可愛いんだよ」

平然とそんなことが言えるなら先に告白しなさいよという気持ちが高まったのは本人には黙っておこう

(でも宮城が最高の誕生日になったのなら私は満足かな)

これから先また何年もよろしくね
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