〜表〜
□ノートの仲
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「ねぇー知ってる?桜木君の噂」
『え?』
「なんか、また喧嘩沙汰起こしたらしいじゃん?」
「彼、暴走族と繋がってるらしいよ」
『そうなんだー』
周りからすれば彼なんてそういう風にしか見られてない
もちろん、私も彼は恐怖でしかない
前だって3年生の先輩が教室にまで来て桜木君の呼び出しっていものをしに来ていたし
(まぁ私が桜木君と話すことなんてないけど)
「◯◯今日日直だよな?」
『そうだよー』
「これ掃除終わったらノート提出にだって」
『えーわかったよ』
授業は終わり放課後の時間で掃除をしていれば同じクラスの友人に言われてしまう
全員提出のものらしく思わず落胆する
落胆した原因になっている方を見ると掃除の時間なのに今だに寝ている桜木君
多分彼は授業に出てないからノートなんて取ってないだろうな
『あと私やるから皆帰っていいよ』
ゴミ捨てをやれば掃除は終わりなので、先にクラスの皆を帰らせ私はゴミを捨てに行く
まさかここまでとは思わなかったがゴミ捨てから帰って来ても桜木君は相変わらず寝たままである
(めんどくさいことになったな、、、)
ちなみに今回ノート提出をする相手が結構口うるさい先生で、出さない生徒はおろか提出しに行った生徒にちゃんと集めろと説教を始める先生だった
仕方が無くゴミ箱を元の位置へ戻し、桜木君の近くへと向かう
『さ、桜木君、、、?』
声をかけて見るも「クソ、ゴリめ、、、」と寝言を言うばかりである
これは困ったなと思い、揺さぶろうと手を伸ばせば思わず手が止まる
寝顔が少年のままで可愛いと感じてしまった
(これは反則でしょ)
普段は眉間にシワを寄せているかバスケットマンといいながら歌っているかのどちらかだが、こんな表情は初めてみた
なんだか起こすのも可哀想だけど部活がもう始まっているはずだから揺さぶる
何より私も早く帰りたい
『さ、桜木君、、起きて』
「ん、、、君は?」
『同じクラスの★★です、今放課後なんだけど、「ぬっ部活に遅れる!」、、、ち、ちょっと待った!!』
自分でも面白い位声が震えていた
放課後だと伝えればすぐに部活に行かねばと言う考えなのか立ち上がり行ってしまいそうになる
そんな桜木君の腕を思わず掴み、行こうとする彼を制止した
「俺部活に行きたいんだけど?」
『いや、うん、うっ腕をつかんでごめんね。今日ノート提出があるの、それを出して欲しいんだよね』
「俺書いてないぞ?それにゴリに叱られる」
『私の見せてあげるし、ゴリさんが誰だか知らないけど私も謝りに行ってあげるよ?』
なんとか桜木君を説得し、『字が汚くて読めなかったら教えて』と伝え私のノートを開き写してもらう
『ここはね、この人が・・・』
桜木君が書いてるページの人物を見れば確かこの人はこんなことしてたよなと思い出し解説してしまう
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「終わったー!」
『お疲れ様桜木君』
「いや、こちらこそありがとうな!」
途中で投げ出すと思っていたが、ちゃんと最後まで書いてくれたのだ
しまいには笑顔を見せお礼まで言ってくれたし、まさかあの桜木君がと思うほどだった
『桜木君、これあげる』
「ん?いいのか?」
『いいよ、無駄に解説しちゃったしこれ食べて待ってて』
実はあの後もたまに解説をしてしまい、聞きたくも無い話をごめんねと心の中で謝る
そしてお昼に私が小腹が空いた時用に買っておいた菓子パンを渡し、すぐに職員室へと向かう
(桜木君が約束守ってくれたんだし私も守らなきゃ)
先生から余計な話をされないうちに早めに切り上げ教室へと戻る
『桜木君お待たせ!!あれ?』
教室に戻ると誰もおらず、桜木が先ほど座っていた机を見れば〈菓子パンありがとな!やはり天才がいないバスケ部はバスケ部じゃないから部活に行く!!解説面白かったぜ、★★さん〉
『桜木君、、、全然怖く無いじゃん』
無駄に聞かれてもいない解説に覚えられていないと思っていた名前が知られていたことがあまりにも嬉しく顔に熱が集中する
鞄を急いで持ち、桜木君が怒られていませんようにと体育館へ急ぐ
ノートから始まるのもありよね?
27/06/12