〜表〜
□この想いを伝えたくて
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「あいつ・・・どこに行きやがった・・・はぁ・・・はぁ・・」
少し前、俺はスタミナの無い自分自身に後悔をしていた
そんなときに桑田からジュースを受け取り「胸元に入れ墨を入れた女の人が先輩にってくれました」と聞いた瞬間俺は立ち上がっていた
入れ墨を入れた女は一人しかいない、絶対あいつだ、◯◯だと
◯◯と出会ったのは俺がグレていた時だった
鉄男と仲良くなって、どっかたまり場が欲しいと皆で話していた時
鉄男が連れて行ってくれたのがあいつの部屋だった
女の部屋には全然入ったことないせいか変に緊張してたのを今でも覚えてる
「あんた、タバコ吸わないの?」
胸元にある紫色のバラの入れ墨を目立たせながら俺に話しかけきた
俺は酒はそこそこ飲んではいたけれど、絶対にタバコだけは避けていた
なのにこの女は吸わないと言えばわざと俺に煙をかけたりと色々とちょっかいをかけてきた
最初はガキくさい女だなと考えていたけれど、意外と周りをちゃんと見てる
しかも普段は余裕ぶってるくせにたまに見せる寂しげな表情に惹かれていった
(俺がこいつに寂しい思いをさせないようにしたい)
そう思っていた時に◯◯から「あたしの男になってよ」と言われたのは
かなり嬉しかったけど、あんま顔に出さないように耐えて
でもその日の帰りは嬉しすぎて、お袋たちに土産を買っていた
あいつといるときは本当に幸せで、このままでずっと居たいそう思っていた
宮城とモメて入院した時も夜の仕事の前にきちんと毎日来てくれた
「寿、あんた前歯・・・あははは!」
『るせー!笑いにきたなら帰りやがれ!』
「ごめん、ごめん。ほら、マスク買ってきたから」
茶化されはしたけれど、恥ずかしくないようにとマスクも用意してくれた
バスケ部だった時のことも話せば黙って聞いてくれたし
あいつは最高な女だ
陰から支えてくれて、バスケをやりたい俺の気持ちにも気づいてたみたいだった
でもあの時からだ・・・俺がバスケ部に戻ってあいつにも報告しに行こうと家に向かった
行ってみると鍵は相変わらず開いていて、中に入ると誰もいなかった
(仕事に行ったのだろう)
1日中家の中で待ったけれど、あいつは帰ってこなかった
次の日もまたその次の日も行ったが会うことはできなかった
電話もしても出ねぇし、一番報告したい奴に会えなくて
「◯◯ちゃんには俺もしばらく会ってねぇーな」
『そうか、一応あいつにも部活戻ったの言いたかったんだけれどな』
「あー俺言っといたよ」
ケラッという徳男に腹が立つと同時にあいつが俺の前に姿を現さないのも納得がいった
◯◯は俺の迷惑にならないように会わないようにしているのだと
変に考えすぎるあいつのことだ絶対にそうだと考えた
だったら全国制覇をしてケジメを付けようと考えていた矢先だった
まさか◯◯が見に来てくれていたなんて
今だってドキドキしてるし、結構走ったら割とガチで死にそうだけど愛しい彼女の為だ
外に出ると◯◯が鉄男のバイクに乗り行ってしまった
試合もあるから俺は会場へと戻る
俺はちゃんと今まで◯◯に好きだとか伝えなかった
だからあいつは変に勘違いしてこんな風になっているんだと思う
今度は絶対に会って、そんときは素直にこの想いをあいつにちゃんと伝える
『愛してる』
俺はあきらめの悪い男だ、覚悟しとけよ
27/10/17