【ラジアータ小説】

□気は大きいが勝ち
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大きな仕事をやってのけた後は、屋根に上って二人で乾杯しようよ。
「こらこら、フラウさんは未成年でしょう」
「堅いこと言わな〜い」
この一杯の為に生きてるんだな。なんて、ちょっと親父くさいかな?

気分の良いこんな夜は、いつもより少しだけドキドキしてみたくなる。


「ガンツってさ、リンカ姉さまのこと好きなんでしょ?」
「ぐふぉっっ!・・ちょっ・・!!・・えええええっ!!!?ちょちょちょっと!!な、なんですかそそそそんな突然!!!?」
隣のガンツは、飲んでいた酒を思い切り吹き出すというとてもわかりやすいリアクションで、私の質問に答えてくれた。
「へぇえ〜やっぱりね〜!」
「ちょちょちょっとフラウさんっっ!!」
私がからかってみせると、ガンツは顔を真っ赤にして声を張り上げた。顔が赤いのはもちろん、酒のせいなんかじゃない。
「ガンツってばわっかりっやす〜い。ま、わかるよ、リンカ姉さまは素敵だからね〜」
ガンツは押し黙って、俯いた。否定しないからには、やはり、本当なのだろう。
「良いじゃん、そんな照れなくたって〜」
なんて事ない、という風に私が言うと、ガンツは酒の入ったカップを両手で握りしめて、ポツポツと語った。
「な、なんと言いますか・・その・・まだ誰かの事を、その・・恋愛の対象としては愛した事がありませんので・・よくわからないのです・・。って!なんで笑うんですかっ!」
私はつい吹き出してしまっていた。だって、あまりにもおかしかったから。まるで思春期の少年みたいじゃない。
「ご、ごめん!・・あっはは、ガンツってば変なの」
「え・・そ・・そうなんでしょうか?変、なんですかね・・」
「ううん、変じゃないよ」
「は、はい・・そうですか?」
月明かりに照らされた真っ赤な横顔は、奴の心に私の入る隙なんかないって伝えているみたい。
けど、私はそれを気付かなかったことにする。
「でもねぇガンツ、リンカ姉さまは渡さないよ〜!」
「えええ!?」
「なんちゃって!」
私は、驚くガンツの未だ真っ赤な頬に、悪戯っぽく口付けた。
自分の心臓の鼓動を聴きながら、またしても吹き出したガンツを笑った。
 
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