別世界の扉 ワンパンマン

□正義の女神
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 その日は、久々のS級集会の召集だった。

 ヒーロー狩の一件で、全滅に近いダメージを負ったS級達は、未だに傷が癒えていない者もいたが、豚神の「シババワの地球がヤバイ」は、宇宙船飛来でも、ヒーロー狩りでもないという発言から、今後のあり方を話し合う。そういう事だったとタツマキは聞いていた。

 馬っ鹿じゃないの。そう言いつつも、何時も召集されれば定刻の10分前に来ているあたり、S級2位という肩書き云々以前に、どこか前向きな姿勢があるのかもしれない。

 だが、今回は待てど暮らせど集まりが悪い。毎度姿を見せないブラストやメタルナイトは兎も角、駆動騎士、金属バット、タンクトップマスター、キングさえ姿を見せなかった。
 金属バットに至っては「妹と買い物の約束がある」という他愛もなさ過ぎる理由での欠席である。

 タンクトップマスターは何やらタンクトッパー講演があるとかで、遅れてくるとシッチが告げて、もう30分にはなるだろうか。いい加減イライラし始めたタツマキが席を立つ。

「タツマキ、何処へいくんじゃ?」
 シルバーファング――バングに呼び止められ、浮遊したままキッと振り返る。

「話し始まんないんだから、ここにいたって仕方がないでしょ!? 辛気臭い顔ばっかり眺めていると息が詰まるのよ!」
「だから帰るのか」

 一番辛気臭そうな顔をしているゾンビマンに言われ、一気に気が立ったのか、入り口のドアが激しい音を立てて開いた。

「帰んないわよ!! 帰らなきゃいいんでしょ!? 建物内にはいるから揃ったら呼びに来るなり館内放送をかけるなりしなさいよ!」
 そう言ってタツマキは会議室から出て行った。

 同じ様に激しくドアが閉まって数秒。

「館内放送って……迷子の呼び出しかよ」

 しんと静まり返った会議室にゾンビマンがポツリと呟くと、協調性のないS級の面々に一瞬だけ共感が生まれ、誰ともなく「それな」とばかりに頷いた。
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