耳袋〜みみぶくろ〜


□夢の少女
1ページ/1ページ

怖い夢を見た。

廃墟の暗闇に、少女が一人。
ただそれだけなんだけど。
その笑顔がやたらに怖い。

普段自分は、こういうのはあまり怖がらない性質なのだが、どうにも怖い。
何が怖いのか分からないけど、怖い。

どんどん追い詰められて、手が触れそうなところまで来て目が覚めた。

脂汗びっしょりで、酷く寒かったのを記憶している。


そこまでなら、ただの怖い夢だ。

それから、暫く経って。
暗がりに入ると、少女を思い出すようになった。

シャッターを閉めた会社は明りを消すと真っ暗になる。
その廊下の先に、少女がいた。

眠る際、明りを消した部屋の隅に。

トイレに立った廊下に。

暗い窓の奥に。

少女が立っていた。
厭な笑みを浮かべて。

それ以来、自分は暗闇が怖い。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ