耳袋〜みみぶくろ〜


□深夜の非通知
1ページ/1ページ

ずっと、いたずら電話だと思っていた。

深夜の無言電話。
ワンギリ。
AVらしき女のあえぎ声。

気にもしなかった。

あ、また来た。
そのくらい。


午前1時3分。
そろそろ寝ようかと着替えていた時、また電話が鳴った。

コールが続く。
ワンギリではない様だ。

非通知。
出なければいいのだけど、もし親類の危篤だったらと思ったら出るしかなかった。

「もしもし」

出た瞬間、叫び声がした。
そのあと、遠くからテレビの音声っぽいものと、赤子の泣き叫ぶ声がした。

叫びの主か、男とも女とも分からない割れた声で、

「おまえの※※※は」

電話は其処で切れた。

ここに来て漸く拒否が出来ないものかと通話履歴を見たが、履歴には電話が来たことさえ残っていなかった。

それから、非通知には出ない。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ