耳袋〜みみぶくろ〜
□深夜の非通知
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ずっと、いたずら電話だと思っていた。
深夜の無言電話。
ワンギリ。
AVらしき女のあえぎ声。
気にもしなかった。
あ、また来た。
そのくらい。
午前1時3分。
そろそろ寝ようかと着替えていた時、また電話が鳴った。
コールが続く。
ワンギリではない様だ。
非通知。
出なければいいのだけど、もし親類の危篤だったらと思ったら出るしかなかった。
「もしもし」
出た瞬間、叫び声がした。
そのあと、遠くからテレビの音声っぽいものと、赤子の泣き叫ぶ声がした。
叫びの主か、男とも女とも分からない割れた声で、
「おまえの※※※は」
電話は其処で切れた。
ここに来て漸く拒否が出来ないものかと通話履歴を見たが、履歴には電話が来たことさえ残っていなかった。
それから、非通知には出ない。