耳袋〜みみぶくろ〜
□隣で歩く
1ページ/1ページ
日曜。
昨夜遅くまで起きていたせいで、遅い時間に目が覚めた。
隣の部屋でなにやら忙しなく歩き回る足音がしている。
祖母が何か探しているのだろうか。
その足音を聞いているうちに、再び睡魔が襲ってきてまぶたを閉じて数分。
玄関の扉が大きな音を立てて開いて閉じた。
その瞬間、その音に負けない大きな声で「何時まで寝てる!」と祖母の声がした。
仕方が無いので寝床から出た私は、祖母の格好を見て違和感を覚えた。
余所行きの服なのだ。
「どっか行くの?」と聞けば、帰ってきたところだという。
私が寝ている間に友達と出かけていたらしい。
じゃあ、隣の部屋でしていた足音は?
泥棒かと疑ったが荒らされたところもない。
鍵も掛かっていた。
祖母と2人で暮らしていたときの話だと、Hは言った。