耳袋〜みみぶくろ〜


□遅い車
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誰かが後ろを通るから避けた。
だが、誰もいなかった。

こういうことが立て続けに起こるときがある。
だが、それならばまだ「気のせいか?」で済ませられる。

先日、愛車に乗っての帰宅途中。
わき道から交差点へと合流するときに、左から1台の車が来た。
特に混んだ道でもない。これをやり過ごしてから道に出よう。
そう思って、その車が通過するのを待っていたのだが、何故か滅茶苦茶遅い。
まずったなぁと内心溜息を吐きながらも、青のままの信号に感謝し、その車が通過するとその後へと続いた。

が。

その車は交差点で突然停車した。
まるで赤信号で止まるように、だ。
信号は青。通過するつもりでいた私は驚き、その停車した車の脇を抜けて交差点を通過した。
悪態を吐きながらバックミラーを見ると、その車は無かった。
すぐにミラーを確認したので、交差点を曲がったのならばその姿は見えるはずなのだ。
それなのに忽然と車は姿を消していた。

あれは何だったのだろうと、誰もいない気配を避ける度に思い出す。

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