mi&ta

□アヒル改めエリザベス
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「エリザベス…」

『??』

「こいつの名だ…」


『なるほどっ!!

よろしくお願いします、エリザベスさん』


アヒル改め、エリザベスさんに向き直り挨拶をする。


エリザベスさんは、おもむろに看板を取り出した。エリザベスさん曰く、

「敬語はいらないし、エリザベスでいい。」

だそうだ。


『う、う……ん』


よろしい、とでもいうように頷かれた。


『ところで名前、何?』

「…俺か?」

こくり、と頷く。
瞬間、その人の顔が僅かに強張った。

「俺は……『あぁーっ!!!!』なっ、何だ!?」


『いやぁ、私も名前言ってなかったなって。

私は、依弥。
改めましてよろしく』

えへへ…と笑ってみる。


その人もつられるように笑ってくれたけど、やっぱり表情がかたい。

「……。俺は桂だ」


『桂………』


何か、聞いた事がある。
真撰組に入る前に聞いたような。どこだっけ……。

仕方ない。いつか思い出すさっ!!


『桂…かつら…、ヅラ…?』
「ヅラじゃない桂だ」

『はやっ!!』

なんだか、そのやり取りがおかしくって、私は地面をバシバシ叩きながら大笑いした。


桂は呆れ顔で見てたけど、その表情はまた柔らかくなってた。

何かを思い出して、懐かしがってる…?



『やっぱ、桂よりヅラが言いやすいよ。だから、ヅラねっ!』

「なっ…!」

『はい、決定〜!!』

「おいっ!!」


『なに?(にこにこ)』

笑う私に、ヅラは何も言えなくなったみたい。

「…もういい……(好きにしてくれ)」




それからたわいない話をした。

その後、私はケーキの事を思い出し、兄ちゃんの事も思い出した。



『ヅラ、私行くとこがあるんだ。それじゃ、またね!!』


「…あぁ。また…」






ヅラに手を振り、再び兄ちゃんの匂いを探しだした。


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