mi&ta

□アヒル改めエリザベス
3ページ/5ページ

「『ところで…………!?』」


被っちゃった。


どうしようか……?

「先に言ってくれ。俺は大した事じゃないんだ」

『こちらこそっ』


思いっきり首を横に振る。
すると、その人も困ったように首を傾げた。


………この人、反則でしょ。私より、女っぽい。

小首を傾げただけで色っぽいよ。




いつまでも、こうしてる訳にもいかないので私はある提案をした。


『じゃんけん、しましょうか?』


「じゃんけん…?」


小さい頃、兄ちゃんと何かが被ったらいつもじゃんけんをして順番を決めてた。



その事を思い出した私は胸を張り、満面の笑みで答える。

『勝った方から、話すんです。』


「………わかった」



一瞬、躊躇った気もするけど、気のせいだよ。

きっと。いや、絶対。




じゃんけんの結果は……






私の一回戦負け。






自分から言い出したとは言え、なんか悔しい。

そういえば、兄ちゃんとやって勝てた事なんて、なかったよ。


『先にどうぞ』

「あぁ。

それじゃあ、言わせてもらうが、敬語を使うな」




『……は?』



何かと思えば……。
真剣な顔してるから、もっと大変な事かと身構えちゃったじゃん。



『でも、年上だろうし……』



「構わん。というか、頼むから使わないでくれ」




ケーキが盗られてないか確認するために下を向いた。

人の邪魔にならないように避けてるけど、あっという間だからね。

過去に、総悟に盗られたし。プチシュー。




あれこれ考えていると、ぐいっと顔を持ち上げられた。


「聞いているか?さっきから唸っていたが……」


『聞いてましたとも。
つい、プチシューの怨みを…』




まだ納得いかない。という顔をしていたけれど、何も言わずに引き下がってくれた。



(ほんっと、綺麗な人…)


あれ?私、この人の名前知らないや。


「それで、そちらの話は?」


『そちらはヒヨコですか!?
それともニワトリ!?
はたまた、アひゃっ!??』


いきなり頬っぺた引っ張られて、アヒルが言えなかった。


「敬語は使わないでくれと頼んだはずだか…?」


にっこり笑うその人に、阿修羅を見た。

私、絶対真っ青通り越して真っ白だよ……。



『ごめんなs……、ごめん』

「よし」


そう言ってやっと放してくれた。よかったぁ。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ