mi&ta
□雨の日
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桂Side
笠が突風で飛ばされていくのを、ぼんやり眺めたていたら視線を感じた。
そこに居たのは、真撰組の制服を着た少女。
その瞳に何故か懐かしさを覚え、真撰組の仲間かもしれないという事も忘れ、じっと見つめた。
少女も見つめてくる。
やはり、俺の事を知っているのか……。
一応、すぐに逃げれる体勢をとる。
「何か……?」
『えっと……』
俺が話かけると、少女はひどく狼狽してしまった。
警戒を緩めず、狼狽する少女に申し訳なく、話題はないかと考えていると、ずいっと傘を突き出された。
意図を掴みあぐね、少女を見遣る。
『私、家近いんでっ』
「………すまないな………」
少女の瞳の強さに押され、つい傘を受け取ってしまった。
このままでは、少女が濡れてしまう。
そう思って、傘を返そうとした先に、もう少女はいなかった。
走り去る少女を見送りながら、何故か友であり、今は鬼兵隊の頭である男を思い出していた。
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