mi&ta
□雨の日
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買い物なう。
……ただ使ってみたかったダケ。
私の手にあるのは、買い物リスト。
お昼からは雨が降るらしいから、いつもより早いペースで買っていく。
一応傘を持って来たけど、兄ちゃんからの手紙を濡らしたくない。
『最後に、シャトル1ダース分を買って……よしっ』
「ありがとうございました」
買い物が無事終わり、スキップしながら帰る。
『あ、雨だ…』
急いで傘をさす。
そこまで強い雨じゃなくってよかったけど、近道の路地を通る事にした。
反対から、笠を被った人が来た。
すると、突風でその人の笠が飛んでいってしまった。
とっても綺麗な人だった。
つい、魅入ってしまった。
私の視線に気づいたのかその人と目が合った。
「何か…?」
『えっと…(女の人かと思った)』
何と答えればいいか分からなくなって、ずいっと自分の傘を出す。
ちらりと盗み見してみると、案の定、驚いた顔をしてた。
そりゃそうだ。
見ず知らずの人から、いきなり傘を渡されたら……ねぇ……。
でも、私もここまできたら引けない。
『私、家近いんでっ』
その人にまた傘を突き出す。
「……すまないな………」
『それじゃあっ』
受け取ってくれたのを確認して、私は走り出した。
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