mi&ta

□あたしは真撰組
1ページ/6ページ

「依弥、今から攘夷運動が激しくなる。

だから、しばらく別れような…?」

そう言う兄ちゃんの顔を、まともに見れなかった。

俯いて、溢れそうになる涙を堪えるので精一杯。

『…み……』

「…?」


『手紙、書いて、くれ、る…?』

「あぁ」

優しく頭を撫でてくれる兄ちゃんの温もりが、その証のようだ。


『――死ぬなよ』

男言葉になるのは、悲しみを堪える時の私の癖。


くすり、と笑う気配がした。

兄ちゃんがしゃがんで、目線を合わせてくる。


「当たり前だ」


兄ちゃんの力強い瞳が、私を安心させてくれた。


「またな」


くしゃくしゃと私の頭を撫でて、兄ちゃんは仲間の元へ向かう。


『高杉晋助を、よろしくお頼み申し上げます』


背伸びして、大人びた口調で呟いた私の声は、兄ちゃんにも、仲間の人達にも届いてないだろう――――

.

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ