♀ツナ
□だって女の子だもん
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高校生になったツナは正真正銘の女子高生なのだが、パッと見には性別不詳といった感がある。
中学生までは男子同様の恰好を余儀なくされていたせいで周りも男の子だと認識していたのだ。
本人の自覚もいたって遅く中学卒業を控えたある日、初潮を迎えてようやく自覚したくらいだ。
高校生になりボンゴレ側の騒ぎも落ち着いた頃に正式にというのもなんだがツナを女の子として披露したのだ。
そんなツナは自覚はないが相当愛らしい。
それは性別不詳・・つまり無性のもつ天使のように清らかで幼げで手を差し伸べずにはいられないものがあった。
しかし、そんなツナに手を出そうとする愚か者は並盛には存在しない。
なぜなら並盛の支配者がそれを許さないからだ。
「沢田綱吉が欲しければ僕を通してから」
それは高校に入学してすぐに出された雲雀の通達であった。
つまりツナが欲しくば自分を倒せ。
そのためツナに手を出そうとする自殺志願者は皆無なのであった。
「そうだ!彼氏に頼みなさいよ!」
黒川が名案とばかりに手を叩いて厭らしい二マリととした笑いを零すのをツナは小首を傾げて目で問うた。
黒川は目を三日月のようにさせるとニンマリしたまま
「胸って揉んでもらうと大きくなるんだって」
「んな!」
真っ赤になったツナにクスクスと笑いそのプクリとした頬をツンとついて俗説だけどね〜と黒川は笑った。
独りトボトボと帰宅の途に就くツナは大きく溜息をつきつつ先程の黒川との会話を思い返した。
(彼氏に揉んでもらえか・・)
頭の中には漆黒の男が射抜くように鋭い視線を投げかける映像が浮かびツナは身震いした。
そんなことを言いだそうものなら風紀を乱すつもりかと速攻で咬み殺されてしまうだろう。
ピタリと足を止めると大きく溜息をついた。
(そもそも・・彼氏でもないしな)
ヒバリさんは責任感で自分の婚約者になっているだけだ。
それもリボーンの言うことだから。
潤んできた瞳から涙が零れ落ちないように空を見上げると雲一つない夕暮れの空は寂しそうにツナの瞳には映った。
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