MSA

□汝、幸せを求める者なり
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【獄寺隼人の葛藤】

「てめぇ!なんで十代目の部屋にいやがる!」

がるぅぅと本当に犬の唸り声がしそうなくらい獄寺君は目付きも態度も猛犬のように骸に向き合った。

「なぜと言われましても・・」

困ったように微笑みながらも何か企んでいるような胡散臭い笑顔がなんとも言えずオレの嫌な予感をビンビンに刺激する。

すると獄寺君はハッとした顔をして悲しげにオレを振り返りまた、彼独自のワケのわからない思考から

「・・骸を十代目の右腕にするんでしょうか?」

と捨てられた犬のような目をオレに向けた。

「え〜と、何か勘違いしてるみたいだけど、全然そういうことじゃなくて」
「じゃどういうことで?」

悲しげに眉を八の字に下げつつ本当は俺が右腕じゃダメなんじゃないっすか?と聞いてくる獄寺くんにまさか

(ヒバリさんを恋人にしろと迫られてますなんて言えねぇ)

と、どうしようかと思っていると存在をすっかり忘れていた骸がキラキラとした笑顔でいつの間にか獄寺くんの肩をつかみ引き寄せると何やらコソコソと耳打ちし始めた。




自分を置き去りに二人は何やらコソコソと話し合いを続ける。
その間のことはオレには後ほど明らかになるのだがこの時、この二人を止められなかったことがオレの人生を大きく変えてしまうことになるなんてお釈迦様でもなんとやらだ。





「実はですねアヒルくんと綱吉君をくっつけたいんですよ」
「あ?何バカ言ってやがる!男同士だぞ」
「そこは問題ありませんよ、だって綱吉くんですから・・可愛いでしょ?」
「ん・・まぁ確かにそうだが・・だがなんで雲雀なんだよ!」
「下手に女に取られてみなさい。貴方の右腕としての出番はこの先、仕事面に限られてしまいますよ?」
「・・どういう意味だ?」
「仮に雲雀と綱吉くんが恋人になれば将来はイタリアと並盛で遠距離恋愛、その間は君が綱吉君を一心に面倒見られますよ?」


わぁ、獄寺くんの作った料理美味しい!
あ、ありがとう掃除もしてくれたの?
本当に君がそばにいてくれて助かるよ

獄寺の脳内妄想はとどまる事を知らないようだ。
秀麗な顔をデレデレと崩しみ悶える姿は綱吉からは大層不気味に写った。


そして骸は獄寺にビシッと指先を突きつけ

「女が恋人では貴方の出番はありません!」

ガーンとショックを受ける獄寺がガクリと膝をついた。

(一体、なんの話をしているのだろうか?)

自分が追い詰められていることもわからず不思議そうに綱吉は二人を眺めた。
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