SSA
□君の瞳に恋してる
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スゥスゥと呑気な寝息がソファの方から雲雀の耳に入り込んだ。
貯まった書類を横目にうんざりとため息をつくとギシリと背もたれが軋むくらい寄り掛かる。
ひじ掛けに肘をついてソファを眺めればなんともマヌケな顔で幸せそうに惰眠を貪る雲雀の大事な、それこそ目に入れても痛くない恋人が寝息をたてていた。
(まったく)
苦笑して立ち上がるとエアコンの温度を少し上げて寝寒くないように調節した。
「ふふっ」
「綱吉?」
起きてるのかと顔を覗き込めば口許をフニャフニャと動かしニンマリと笑いまた寝息をたてた。
(・・可愛い)
こんなに自分を捕らえてしまうのはこの子だけだと改めて思う。
仕種も顔も性格も全部が自分の為に産まれてきたに違いないと思うくらいに。
(・・でもやっぱり)
何より自分を捕らえたのはあの瞳だ。
顔の半分は瞳じゃないかな?
最高峰の蜂蜜色の瞳に見つめられるといつも冷静な自分が姿をなくしてしまう。
もっと、もっと、自分だけを見つめて欲しい。
その瞳に僕だけをと願ってしまう。
ピクリと真白い瞼が震える。
「・・綱吉」
さぁ起きて?
僕の恋してやまないその瞳を開いて?
いつも君の瞳に恋してる。