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□アイシテ−ツタエテ
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最初から分かってたんだ。有り得ない幸福はいつか倍以上の不幸に変わるって。それでもオレは・・
ヒバリさんが好きで好きで胸が痛んでこのままじゃ死ぬんじゃないかと思った。
(どうせダメツナなんだ。今更、恥かいたって軽蔑されたって何も変わらない。咬み殺されてもいい・・死ぬ気で告白する!)
突撃するように応接室に飛び込んで怒鳴るように
「ヒバリさんが好きです!!」
「・・そう」
淡々とオレの告白に一言返し、見ていたらしい書類をひとまとめにして机に置いて立ち上がると座れば?とソファをすすめてくれた。
向かいあいヒバリさんが入れてくれたお茶をふぅふぅと冷ましながらチラッと覗き見るとなんとも優雅な手つきでお茶を飲んでなに?と目が問い掛けてきた。
「あっ、あのですね」
「うん」
ジッと射ぬくようにオレを見つめるヒバリさんに心臓がバクンと音を立てる。
「好きです」
「知ってる」
「・・」
「・・」
「あの・・」
「何?」
咬み殺さないのかと問えばなんで?と言うので男に告白されて気持ち悪いでしょ?と言えば別にと答え、ついでのようにおかしな子だと言われた。
『毎日、放課後は応接室においで』
あのあとすぐに最終下校時刻になり帰る旨を伝えると部屋を出る時にそう言われた。
「・・お付き合いしてもらえるのかな?」
帰る道々考えたけどよく分からなかった。
「でも毎日ヒバリさんに会って話ができる」
その時のオレは目先の幸運に夢中でちゃんと考えられなかったんだ。