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□空が泣いた日
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校内の巡回中に2−Aから聞こえた獄寺と山本の話に雲雀はしばし足を止めた。
「今週で何度目だ?」
「2、いや3回目だ」
イスに座り手持無沙汰にタバコを指先で回す獄寺と窓枠に手を掛け遠くを見つめる山本のやり取りはここに居ない子供に関するものだった。
「・・ツナつらいだろうな」
「・・お優しい方だからな」
しばらくしたら迎えに行くか、きっと泣いていらっしゃるだろうからと呟く獄寺に泣いているのが分かってなぜ傍にいないのだろうと不思議に思う。
「・・告白か・・」
山本の呟きに瞬間全て理解した。
(あの子が誰かに好意を寄せられている)
それは驚きと同時に当然という思いを雲雀にもたらした。
最近の綱吉は男の形容に値しないかもしれないが大変に愛らしくなった。
以前は ダメツナ と呼ばれ始終オドオドとし下を向いて歩いていた子供が『最強のヒットマン』と呼ばれる家庭教師と出会い変わった。
友達が出来いくつかの戦いを経て自信をつけてきたのか俯くことがなくなり笑顔を見せるようになった。
才能の開花とでもいうのであろうか人を引き付けてやまない笑顔に女子ならず男子も惹かれていくのだった。
裏庭だったよなという山本が問う獄寺の返事を聞かずに雲雀はそこを後にした。