♀ツナ
□蜂蜜色の君
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綱吉は酔っ払いが嫌いだ。
それは父親のせいであるのは今更言うまでもないだろう。
小さな頃から酔えば抱きついてきたり頬にチュウをしたりと愛娘に構い愛妻に窘められてきた家光のせいである。
小さいな頃は『いや〜んパパ、おさけくさ〜い!』と嫌がる綱吉を捕まえては膝の上に乗せ、そのプワプワな髪に頬を寄せて堪能したものであるが今は・・。
『死ね、くそオヤジ』である。
そういう訳で綱吉は飲酒を好まない。
そしてお酒を飲んでいる人に近寄るのを好まない。
しかし、リボーン先生ときたら、そんなことはお構いなしだ。
「ボンゴレ式新年会だ」
そう言ってさっさと山本寿司店を押さえると嫌がる綱吉を引きずって家を後にした。
「「「かんぱ〜い!!!」」」
寿司店は文字通りすし詰め状態である。
綱吉たち中学生組は酒ではなくジュースが振舞われたが大人は当然のように酒である。
あちらこちらで乾杯、乾杯と酔った大人達が繰り返す乾杯の音頭にうんざりとした綱吉は
「もうオレ帰るよ」
と小さく呟き会場を後にしようとした。
「ツナ〜飲んでるか?」
「十代目、こちらどうぞ」
背後からガシリと肩を掴まれ振り返ればニコニコと笑う山本と獄寺がコップを片手に綱吉を引き止めた。
「・・二人ともお酒飲んだの?」
片頬を引き攣らせて目を眇めると
「んにゃ、ジュースだぜ?」
「そうです、これですよ」
美味しいですよ、十代目も是非!
差し出されたコップの中身は薄いオレンジ色で鼻を寄せてもアルコールの匂いはしない。
(お酒じゃない?・・でもこの二人?)
まるで酔っているようではないか?
何か嫌な感じがして差し出されたコップを押し返そうとしたその時
「ぷぎゃ!」
「おっと〜悪ぃなツナ」
ご機嫌なディーノが抱きついてきてコップに鼻先を寄せていたツナはその中身を愛らしい顔にぶちまけてしまったのだ。
そして、それが小さな唇を濡らし薄いピンクの舌で舐めとられる。
「!・・美味しい・・」
「でしょ!」
飲めよと注がれたものを綱吉はコクコクと喉を鳴らして飲み干した。
誓って言う。
山本も獄寺もそれをお酒だとは思っていなかった。
しかしこれはリボーンが持ち込んだ酒であったのだ。
そう、綱吉は酒とは気がつかずに飲酒したということになる。