♀ツナ
□Be my baby
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昨今、茶色や金色の髪なんて目立つものではない。
しかし天然のその金茶色の髪の持ち主はその髪で、いや存在が人目を引いてしまう。
小さな色白の顔を縁取るようにフワフワとした柔らかな髪はフワリと自然に緩いカールがかかり顎先で揺れる。
(遅れちゃった!)
ほっそりとした手首に巻いてある華奢な作りの腕時計を確認すると丈の短い制服のスカートからスラリと伸びた足をセカセカと早める。
早歩きをするたびに胸元でたゆんと揺れる胸。
小さなサクランボの唇。
まあるいピンク色の健康的な頬。
何よりもとろりとした蜂蜜色の瞳。
道行く誰もが振り返る美少女。
校庭に出ると走り出して正門前に止まり車の横に立つ老齢の男に謝りを入れる。
「ご、ごめん・・なさい・・」
はぁはぁと息を切らして駆け寄ってきた少女に男は慌てて
「若奥様!そんな、頭を上げてください」
若に叱られてしまいますと男が困ったように告げるのをふにゃんと眉を寄せてもう一度ごめんなさいと告げて開けられたドアから車に乗り込もうとした。
「ツナ!!」
「十代目!!」
足を掛けた姿勢のまま声をかけられた方向を向くと、そこには懐かしい友人たちがいた。
「・・山本!獄寺君!」
ビックリして瞳を見開き、その後すぐにフンワリとした花がほころぶ様な笑顔を浮かべた。
そしてコテリと小首をかしげてどうしてここに?と問いかけた。
「綱吉様?」
「あっ!すいません」
オレの友達でなんです、並盛のと言えば男は大きく頷き、ではご一緒にと車に乗るように促した。
白い海鼠塀が延々と続いたかと思うと堂々とした檜門が現れた。
門を抜け大きな玄関前の中央に作られたエントランスで車が止まるとツナは二人を促して車から降りる。
「お帰りなさいませ、若奥様」
お帰りなさいませとクラッシクなメイド服を着た女性達の中から一人、ツナからカバンを受け取ると前もって連絡を受けていたのであろう山本たちを応接室にお通ししますとニコリと微笑んだ。
「じゃあお願いします」
オレ着替えてくるねとツナは二人に笑いかけてカバンを持ってくれたメイドと共にその場を後にした。