♀ツナ
□君色の空
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「好きです・・オレ・・ヒバリさんが好きです・・」
伝えるつもりのなかった言葉がついて出たのは、その時の並んで見上げた空がとても綺麗だったから。
とめどなく続いたおしゃべりが途切れて何気なく並ぶヒバリさんの横顔がとても穏やかでオレの心が溢れてしまったから。
シンとした屋上に冷たい声音が耳朶を打った時に後悔した。
「・・気持ち悪い」
君、男だろ?そう言って眉を寄せ目を細めるヒバリさんの顔が今まで築き上げた関係の破綻を如実に表していた。
「・・ごめんなさい・・」
そう言ったオレの言葉に苛立ち紛れのトンファーがフェンスを揺らしヒバリさんは無言でその場を後にした。
残されたオレは空を見上げた。
ぼやけて霞む夕暮れの空。
頬を伝う冷えた雫。
小さな嗚咽は自身を嘲笑い、呪う。
「・・もう・・好きなんて・・」
好きなんて言わない。
好きになってなんて思わない。
小さなつぶやきは誰の耳にも届かない。
「・・じゃないのに・・」
そこに残されたのは少年の形をした少女。
そう、沢田綱吉は女だったのだ。
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