MSA

□恋する I's
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「・・もう5年になりますか?」
「?」

紅茶の香を楽しむように白磁のカップを回し優美に口許に運ぶ姿はそこらのモデルも裸足で逃げ出すような美形。
スラリとした長身に似合いの長い手足。
ここ数年、伸ばしている後ろ髪はいつも一緒にいる眼帯をする少女によって編まれていた。
それといつまでも変わらぬ不変の独特の頭頂部。
クフフとこれまた彼、六道骸、独特の笑いを零し正面にいる雲雀に微笑む。

「綱吉君との付き合いですよ」
「・・ああ」

そんなになるかな?と思い出すように視線を上に向ける雲雀は、何かを思い出すようにクスリと笑う。

洗いざらしの黒髪は手入れをしているわけではないだろうに艶やかで黒い絹糸のようだ。
形のいい丸い頭は彼の恋人いわく【とてつもなく触り心地がいい】そうで誰にも触らせてはいけないと約束させているらしい。
骸とはタイプは違うがコチラも大層な美形だ。
所謂、日本的美人。
若武者がキリリと弓を引いたような緊張を伴う思わず背筋を正してしまう圧倒的な美貌。
流し目を送られた日には失神者が続出するだろう。



子供の時分は激しく仲の悪かった二人も大人になってある程度の距離感を保つようになった。
それはこの場にいない雲雀の恋人が大きく関与しているのは間違いないのだが。

「きっかけってなんでしたか?」
「?」

骸は珍しく興味深そうに雲雀に問うた。
以前に綱吉に聞いたら真っ赤になって教えてもらえなかったのだ。

そう告げると雲雀は紅茶を一口飲み唇を湿らせた後

「・・知りたい?」
「ぜひ!」

食いついてきた骸に雲雀はある交換条件を持ちかけ了承させるとソファに背をもたらせ遠い目をした。

「・・そうだね、どこから話したらいいかな?」
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