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□汝、幸せを求める者なり
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【六道骸の焦燥】
僕はね嫌いじゃないんですよ?綱吉君のこと。
でも、それ以上にクロームが可愛くて好きなんです。
だから、お願いします。
「アヒルくんと付き合ってくれませんか?」
「・・は?」
それは穏やかな昼下がりのことであった。
中学生でありながら疲れたサラリーマンのようにここぞとばかりに惰眠を貪る綱吉のベッドの横、突如現れた六道骸は何やらくどくどと訳の分からに事を言い始めた。
つまり事の発端は、こうである。
骸の可愛い可愛い妹分であるクロームが最近、骸にこんなことを言った。
曰く「雲の人(の黄色の鳥)・・可愛い」
後に( )の部分の聞き落としと判明するのであるがそれを聞いた骸は地の底まで沈み込む。
「よりにもよってアヒル君。あの凶暴で凶悪で人外の者としか思えないあのアヒル君!」
「・・はぁ(お前も大概、変わらないけどね)」
「僕の可愛いクロームにはもう少しなんというか・・別の人に目を向けて欲しいのです」
「・・はぁ(ってかクロームはお前のことしか目に入ってないと思うけど)」
くどくどと何やらブツブツと呟く骸の横、綱吉は生暖かい気持ちで相槌を打った。
「と、いうわけでアヒル君に恋人がいるとなればクロームも少しは悲しい想いをするでしょうが先のことを考えれば・・ね」
「・・はぁ(先ってなんだよ?ってかヒバリさんと恋愛って対極にないか?)」
この男は顔も頭もいいはずなのにどうしてこうも残念なところがあるのだろうかと綱吉はしょっぱい気持ちになった。
そしてリボーンがいない最高の休日をもう一度取り戻すべくどうやってお帰りいただくかと考えていた最中、窓の外から何やら大きな声で自分を呼ぶ声がした。
「十代目!獄寺隼人、お顔を拝見しに参じました!!」
嵐の到来と共に優雅な休日にサヨナラと心でなく綱吉であった。
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