素晴らしき宝物

□Borage
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「やあ、小動物」

「こ、こんばんは!ヒバリさん!」



ヒバリさんは、毎晩オレの部屋にやってくる
それはリボーンに会うため

ヒバリさんがリボーンにしか興味がないとわかっていてもこうして逢える事が
ほんの少しでも言葉を交わせる事が


オレは嬉しかった





Borage





その晩も雲雀はいつものように綱吉の部屋へとやって来た。



「………赤ん坊は、」

「えっと、今いなくて…」



リボーンがいないとなれば、雲雀はすぐにでも帰ってしまうのではないか。

そんな不安が綱吉を襲う。
リボーンに用があってリボーンに会いに来ているのだから、そうなってもなんの不思議もない。

けれど、雲雀は待たせてもらうとベッドに腰かけた。


雲雀が帰らないのはよかったが、座った場所が悪かった。

もう寝ようとしていた綱吉も、もちろんベッドにいたわけで。



(ち、近いよぉ〜)



いつになく近い雲雀の存在に綱吉は心臓は落ち着かなくなる。

これ以上近くにいたら心臓が保たないと、綱吉は雲雀から離れてベッドの端っこへ移動した。



「そんなに、」



不意に口を開いた雲雀。
その声はあまりに頼りなく小さいものだった。



「え?」



綱吉は思わず聞き返してしまうが、雲雀答えるより先に部屋のドアが開く音がして。



「ツナぁ〜」

「ランボ!?」



涙と鼻水で顔をグチャグチャにしたランボが飛びついてきた。
どうやら、怖い夢を見たらしい。



「ほら、大丈夫だから。もう泣き止め―…っ!?」



抱っこしてよしよしとランボをあやしていた綱吉は背後の殺気にゾッとした。

今、この部屋にいるのは綱吉とランボだけではない。


群れ嫌いの雲雀がいた。



(や、やばい!!)



青ざめた綱吉はランボに奈々のところへ行くように言ったが、ランボはイヤイヤをして綱吉の胸に頭をグリグリとすりつける。



「言う事聞け―…ひっ!?」



すると、雲雀の殺気がさらに強まって。

もうダメだと思った綱吉は部屋を飛び出して奈々のところへ走った。
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