SSA

□赤の疾風
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円卓を囲み珍しく全員集まった会議室に乗り込んできたのは漆黒のヒットマン。

「珍しい奴を連れて来たぞ」

入れとリボーンが声をかけると扉が開き男が入ってきた。


その場にいた守護者は一人を除き驚きで立ち上がり自分が見た者に間違いはないかと立ち上がらなかった人物と入ってきた人物を見比べる。

「雲雀?」
「!?」

入室してきた人物はまさしく雲雀。
マフィアスーツに身を包んだ、すらりとした身体。
漆黒の吊り目がちの鋭い眼差し。
唯一の違いは後ろ髪のみつあみ。

部屋の中を素早く見渡し正面の綱吉に視線を留めるとそれまでとは打って変わりフワリとした笑みを浮かべスタスタと近づいた。


「この姿では初めましてですね」
「・・風さん?」
「はい」

ニコリと笑い優美に微笑む元アルコバレーノ。

(小さい姿の折でもヒバリさんの面影があったが・・ほんとにイーピンの言った通りだ)

本当に似ている・・

ジッと見つめられ微笑みかけられ思わず知らず頬を染める。

そんな綱吉に風は目を細め

「赤子の姿では感じませんでしたが・・」

なんとも美味しそうな方ですねとホッソリとした指先を綱吉の顎先に伸ばしクイッと上に上げさせた。

「十代目になにしやがる!」

唸る獄寺を諌めるように綱吉は手で制する。

「そうですか?えへへ・・」

目は風から離すことなくフニャンとした笑みを浮かべる。

殺気立つ者もいれば面白うそうにニヤつく者。
だがその誰もが雲雀の動向を気にしていた。

なにせ雲雀は・・綱吉にべた惚れだ。
いつ咬み殺すと暴れ出してもおかしくない。
そうなった雲雀を止められるのはこの場にいる全員でかからなければ無理であろうから。


そんな綱吉の笑みを目の当たりにした風は一度、驚いたように目を見開くとフッと笑い

「貴方は・・そこにいる彼とお付き合いしていると伺っていますが?」

チラッと後方の雲雀に目をやりすぐに視線を綱吉に戻す。

ポッと頬を染めると綱吉は恥じらいながらもコクンと頷いた。

そんな綱吉に目を細めつつ

「私に乗り換えませんか?」
「・・えっ?」

そこにいる彼と私は瓜二つ。
彼はとんだじゃじゃ馬だと聞いております。
性格も・・おそらく強さも・・私は彼を上回っていますよ?

「どうですか?」
「・・・」

顎先に置いていた指をツツッと唇に伸ばし誘うような流し目を送る。

「わぁ〜オレ口説かれてますか?」

照れちゃうなと真っ赤になりながらオタオタとする綱吉に守護者の面々はハラハラと事態の静観を決め込む。

そんな中、雲雀はといえば腕を組み静かに目を閉じていた。

綱吉はそんな雲雀にねぇと声をかける。

「どうしましょうか?」
「・・綱吉」

大きく一つ溜息をつくと目を開きおいでと手を伸ばした。
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