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□君がいない
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綱吉・・君が僕を置いて消えてから僕は抜け殻だよ?

今でも君と過ごした日々が色鮮やかによみがえるよ。



春の桜の中、無邪気に笑うその横顔がとても可愛くて愛しくて思わず引き寄せ抱きしめた。
君の髪の香りが爆ぜて僕は眩暈がした。


夏祭りに誘った君は大層驚いて僕を見あげたね?
人ごみが嫌いな僕がなぜって?

「はぐれないでね」

差し出した手をそっと握り頬を染めた君が愛らしくて木陰で隠れてキスをした。


秋には二人で銀杏並木を歩いたね。
二人並んで手を握り交互に飲んだ甘いミルクティー。
その甘さも君にはかなわなかったけどね。


冬の雪景色の中、君の白い背中に天使の羽が見えた気がしたよ・・・。
どこかに飛んでいきそうな君に僕は縋り付くように抱きしめ何度も囁いた。

「愛してる」




君が居た日々はもう夢の中のようだ。
空に君が消えてから僕は・・僕は・・・






「電話しよ」

携帯を取り出し綱吉の番号を呼び出すとバキュンと銃の音がした。

「・・・赤ん坊、なんてことするのさ」

手には粉々の携帯であったものが残され僕は赤ん坊を睨む。


「・・・いいかげんにしろ。ツナは仕事でしばらく出張してるだけだろ!」
「だって僕もう3日も綱吉に触ってないんだよ?声ぐらい聞いたっていいでしょ?」
「・・・ほんの30分前に同じ会話をしたはずだがな?」

睨みあう僕らの間に赤ん坊の携帯が鳴る。
視線を逸らすことなくなく電話に出た赤ん坊が舌打ちして

「いいからお前も仕事しろ!」

綱吉からだと察しをつけて携帯を取り上げると

『だってヒバリさんの携帯が繋がらないんだよ?ほんの少しの間になんかあったんだよ!』
「僕の携帯を赤ん坊が壊したんだよ」


二人で電話越しに赤ん坊を非難してると赤ん坊は呆れたようにため息をつき部屋を出て行った。

「早く戻っておいで」
『はい!』

電話越しにキスをするようにリップ音を立てて切ると急いで携帯ショップに向かうべく車の準備をさせた。

だってまたすぐに声が聴きたくなるだろう?





(あのバカップルめ、ツナが戻ったら二人まとめて撃ち殺してやる)
リボーンさんがそう固く誓ったことを二人は知らない。
 

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