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□冬だもんね!
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「獄寺君、先に風呂どうぞ」
十代目が扉からヒョコっと頭を出して風呂に入れと促してくれた。
慌てて首を横に振って
「いえ、お先に入って下さい」
と言うとう〜んと少し悩んだ様子だったが、じゃ先に入るねとパタパタと階段を降りて行った。
今日は十代目の家で泊まりがけの勉強会だ。
いつもいるお母様や同居人は近場の温泉地に出かけ今は二人きりだ。
(ふっ、二人きりだなんて、俺、我慢できるだろうか・・)
イケナイ妄想に頭が支配され体がプルプルと震え出した所でガチャと扉が再び開き風呂上がりの十代目が入って来た。
(風呂上がりの十代目・・)
直視は危険だと、とっさに判断して視線を横にずらしているとお風呂どうぞと言ってベッドに腰掛けたようだった。
フワリとシャンプーの香りがして鼻を押さえながら、風呂いただきますとそそくさと部屋を出る俺は不自然極まりなかった。
「・・・」
部屋に戻ると十代目がベッドに横になりパラパラと雑誌をめくっていた。
ショートパンツから小鹿のような足を惜し気もなく出し何やらフンフンと足でリズムを取る十代目は大変にそそられ・・いやその・・
「あっ水飲む?」
冷えたペットボトルを受け取り気持ちを落ち着かせようと一気に飲み下しプハッと息をつくとクスクス笑いながら足りなかった?と愛らしく小首を傾げられた。
「・・・」
無言でガン見する俺の前で小さな手をヒラヒラと振り
「獄寺君〜疲れちゃたかな?」
ゴメンね、オレ馬鹿だから勉強教えるの大変だったでしょ?と少し涙目で上目使いの十代目に
「ち、違いますよ。風呂でちょっとのぼせたかな?」
アハハとごまかす様に笑うと今度は大丈夫?もっと水飲む?あっ氷持ってこようか?等とありがたくも心配してくださるようで
「だ、大丈夫ですよ。少し休めば・・」
と言うと十代目はコテンと頭をかしげて
「じゃ、少し早いけど寝ようか?」
十代目のベッドの横に布団を敷いてもらい、さぁ寝ようか?と小さな欠伸をするする十代目に頭がクラクラとした。
(愛らしい・・俺は・・・俺は・・)
「ただいま、沢田」
「あっ、お帰りなさ〜い」
ガラッと窓が開き冷たい風が入り込むと同時に、そこにはなぜか雲雀が窓枠から身を乗り入れていた。