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□汝、幸せを求める者なり
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【沢田綱吉の憂鬱】

骸と獄寺ががっちりと握手を交わすという二度とお目にかかれないようなレアな光景に綱吉は目をこれでもか!というくらいに見開きついでに口もパッカリ開けた。

「・・ふ、二人ともなんの話してたの?」

聞きたくはない、聞きたくはないが絶対に自分に関することに間違いはないのだ。
先ほど言っていた雲雀関連なのは120%間違いないのだ!


すると獄寺はキラキラとした笑顔で、骸は心底嬉しそうに

「「雲雀のところに行きましょう!」」
「えっ?」

左右からガッシリと腕をつかまれて部屋から引きずり出される綱吉はまるでどこぞの捕まった宇宙人のようだ。


「ちょ、まっ、待ってって!」

とにかく雲雀のところに行くわけにはいかない。

(だってこんなふざけた話、咬み殺されるの確定じゃないか!)

「なんですか?」

青ざめている綱吉とは真逆に鼻歌でも歌いそうな勢いで骸は訊ねる。

綱吉は必死で自分は男だし群れるのが好きな草食動物だし雲雀との交際は無理。
っつーか雲雀さんに殺されるよ?と真剣に話しだしたが獄寺はニッコリと笑うと

「十代目は男ですが・・十代目だから大丈夫です」
「えっ?理由になってないよね?」
「草食動物から小動物にランクアップされてましたよ?」
「だから?」

必死で無理だと言い張る綱吉に二人はそれぞれ綺麗な笑顔で

「「大丈夫ですよ」」

と言ってまた止めていた足を動かし並盛中学校に向かうのであった。


(もう・・ダメだ・・)

あうあうと口を開くものの言葉にできずにこの後の雲雀の暴れっぷりが、少しでも小規模のものでありますようにとお祈りしながら綱吉はがっくりと首を落とした。





【雲雀恭弥の決断】


「うん、いいよ」
「・・えっ?」

応接室に入れば群れているのに眉をひそめた雲雀であったが骸と獄寺の話にすんなりと頷き綱吉にとびきりの笑顔を振舞った。

「・・な、なんでいいんですか!」

オレ、男だし弱いし群れるの大好きなんですよ?

「・・君、男なの?妖精とか天使かと思ってた」

ふ〜んと言いながら頬に触れる雲雀に綱吉はビクビクと怯えた目を向ける。
それが雲雀の嗜虐心を煽るとも気がつかずに。

「・・それに小動物だから多少の群れ好きは許容する」

でもこれからは僕以外の男と二人きりは禁止だよと頭をポンポンと叩かれる。

びっくりして目を見開く綱吉が可愛いなと思いつつ雲雀はこれからよろしくと右手を差し出した。

「あっ、はい」

と出された手を握りうかうかと交際OKの返事をしてしまった綱吉くん高校1年生の夏。
人生初めての恋人が生涯で唯一の恋人となった瞬間でありました。
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