小説

□第二章
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シロミヤの街の入り口にソルたちはいた。
シンバルクから一晩ラウラが走り続けたお陰なのだろう、昼前にはシロミヤに着くことが出来た。
生憎シロミヤの騎士団は入り口付近にはいない。シロミヤへ入るなら今がチャンスだ。しかし問題があった。

「俺さぁ、いつまでこいつを背負ってなきゃなんない良いわけ?」

「……起きるまでか?」

質問を質問で返され溜め息が出る。そもそも何故男である自分が男である瑠祇を背をわなければならないのか。

「男が男を背をって街に入れば目立つんじゃねぇの?ってことでこいつ、ここに置いてっちゃおうぜ?」

「馬鹿を言うな。行くぞ」

軽くラウラをあしらい、1人シロミヤへと入って行く。そんなソルを放っておくことも出来ず、渋々瑠祇を背負ってソルの後をついて行った。





街に入ればやはりソルたちは目立った。和風な街並みにソルとラウラの服装はとてもそぐわない。その上ラウラは瑠祇を背負って街中を歩いているため注目の的だ。しかし、ソルは回りの好奇な視線など気にも止めず先を行く。

「なぁ〜、俺そろそろ疲れたんだけど…」

「後少しだ。確かあの巨大な赤い鳥居の向こうに白玻鐘の御所があったはずだ」

ソルが指指す方向には確かに巨大な赤い鳥居が見える。しかし、見えるといっても小さくポツリとしか見えない。この距離から見えると言うことは相当巨大な鳥居なのだろう。しかし、どう考えてもあと少しの距離ではない。せいぜい今いる場所から約10キロはある。

「こいつを背負ってあそこまで運ぶのはマジ勘弁して欲しいんだけど…」

「ふむ。なら休憩にするか?丁度休憩出来そうな店がある」

「……金は?」

「……」

城を勢いで飛び出したソルに金などない。勿論ラウラも持ってなどいなかった。

「御所に行くしかないな」

「えぇー!」

休憩を諦め、先を行く事にしたソルにラウラは反対の声を発する。疲れもピークなのかラウラはその場に座り込んでしまった。

「ハァ…お前は子供か?」

仕方なしにラウラに立ち上がるように促し手を差し伸べる。ラウラはソルの手を掴もうとしたが、途中で引っ込めてしまった。
その時、今まで気づかなかったがラウラの手は赤く血が滲んでいた。一晩走り続けたのが原因なのだろう。ソルはラウラの手を掴み怒鳴った。
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