捧げもの
□雪よりお菓子
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パラパラと昨日から降っていた雪のせいで辺りは一面の銀世界と化していた。
雪景色には足跡一つ無く、まるで雪の国にいるようだ。
そんな雪の積もっている道をイレヴンは独りで歩いていた。すると丘の上に見知った三人の人影が見えた。
「あれはナナイロに銀楼殿。そして白羅君か?こんな寒い日に何を…」
考えるよりも直接訊いた方が早いと考えたイレヴンは三人のいる丘へと歩みを進めた。
「おっイレヴンやぁ!」
いち早くイレヴンの存在に気づいた白羅が大きく手を振る。そんな白羅にイレヴンは溜め息を吐く。
「君はいつも元気だな?俺様は寒いのは苦手なのだが……そもそも君のその格好を見ているだけでこちらが寒くなる。上に何か羽織たまえ!」
「えぇー別にいいやん!イレヴンが寒いわけとちゃうんやし」
「だから見ている俺様が寒いんだ!」
まったくイレヴンの忠告に聞く耳を持たない白羅はおもむろに地面に降り積もっている雪をすくい固め、イレヴンに投げつけた。
「!?」
その雪の塊は見事にイレヴンの顔に命中し、イレヴンの顔は雪だらけになってしまった。
「ほらほら身体動かしたら温かくなるで!」
「白羅君……この俺様の顔に雪を投げつけるとは良い度胸だ」
顔に付いた雪を払い落とすとイレヴンもまた、白羅に雪玉を投げつける。
「ゲッ!?」
イレヴンの雪玉の投げ方が良かったのか、雪玉は白羅の顔に命中した。
しかしまた白羅がイレヴンに雪玉を投げ返してはまたイレヴンも投げ返す。
こんな二人だけの雪合戦をしている二人をナナイロと一緒に雪だるまを作っていた銀楼が冷たい視線で二人を見ていた。
「銀楼さん。イレヴンや白羅さんはなにをしているの?」
「雪合戦だと思うが……あれではただの雪の投げ合いだ───もしやナナイロは雪合戦に興味があるのか?」
ペタペタと雪だるまを銀楼と一緒に作っていたナナイロだが、どうやら雪合戦が気になるようでチラチラと雪合戦をしている二人を見ていた。