捧げもの
□雪よりお菓子
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「ナナイロ。そなたは小さい。あのような雪玉がまともに当たれば痛いどころでは済まないかもしれない………」
「ならオレがナナイロちゃんのボディーガードをしたるでぇ!可愛い子を危険な目にあわせられへんしなぁ」
「いや…君にナナイロのボディーガードは任せられない。この俺様が守ってあげよう。ナナイロ感謝したまえ」
先程まで雪合戦をしていた白羅とイレヴンだったが、ナナイロが雪合戦に興味をもった事で二人はナナイロを雪合戦に加えようとしている。しかし、銀楼がそれを制する。
「イレヴン、白羅。ナナイロとそなたたちの身長差を考えてみろ。どう考えてもナナイロが不利だ…」
銀楼の言う通り、ナナイロとイレヴンたちとの身長差はあまりにも違いすぎる。そもそも男女比だけでも差がある。
「ナナイロだいじょうぶよ?銀楼さんははんたいなの?」
ナナイロが銀楼を見上げると銀楼は少し困った表情をしていたが、ナナイロが雪合戦をしたいならと渋々了承した。
「ありがとう銀楼さん」
ニコっと可愛らしい笑みを浮かべたナナイロはとても可愛らしく、銀楼は少し頬を朱に染め、顔を背けた。
「ほぅ、銀楼殿が照れているとは珍しい事もあるものだ」
「あっ、ホンマやぁ!」
ケラケラと銀楼をからかう様にイレヴンと白羅が笑うとナナイロも先程よりニコっと微笑んでいた。
ナナイロの微笑みを見るだけで銀楼は何故か心に暖かい何かで満たされる気がした。
「銀楼殿?何をぼんやりとしているのかね?」
「あ……いや、何でもない」
「なら良いのだけ「食らえイレヴン!?」
突如バサッなのかボフッなのか良くわからない効果音がイレヴンの方から聞こえる。
性懲りもなく、また白羅はイレヴンに雪玉を投げ付けていたのだ。
「白羅君ー!」
「うわっ!本気で怒りよるわぁ!?」
流石に不意打ちで雪玉を二回も投げ付けられるとイレヴンもそうとう頭にきたようで、雪玉に石を入れ白羅に投げ付ける。
「イレヴンそれはアカンって!?堪忍してぇなぁ〜」
「何を言ってるんだ。元は君が悪いんだ!」
そう言い放ちイレヴンは持っていた石入り雪玉を白羅目掛け投げ付ける。
その雪玉は見事に白羅に命中する。
「にぎやかね?ナナイロこういうのすきよ?」
「賑やかと言うよりはただ煩いだけだと私は思う」
作っていた雪だるまの上に座っているナナイロを銀楼は降ろした。
その銀楼の行動の意味がわからなかったのかナナイロは首を傾げる。
「帰ろう。あんな二人とそなたが雪合戦するなどやはり危険すぎる。帰ったら美味しい菓子でも用意しよう」
“菓子”という言葉を聞くと今までで最高の笑顔を見せたナナイロの頭を優しく銀楼は撫でた。
身長差はあるが二人が仲良く手を繋いで帰って行くのをイレヴン、白羅が気付くのはいつだろうか。
雪よりお菓子
(銀楼さん。これはなに?)
(これは饅頭だ……)
(まんじゅうおいしいわ!)
(ナナイロが喜んでくれて良かった…。おつきの分もある)
(私の分までありがとうございます)
(なぁ銀楼オレらの分は?)
(俺様たちにはないのか?)
(……………)
((無視か…))