Sweets Collection

□ストロベリー
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しかし、敢えて宣言するまでもなく自分は男だ。
女性向けのフリルやレースをあしらった服が好きで普段実際に着るという少々特殊な嗜好をして、それがまたよく似合ってしまうのだが、下着は男用だった。

スカートを捲れば、男物のパンツとは違和感ありまくりでも、こればかりは仕方がない。
標準サイズだと思うが、男のシルシが作りの違う女性物ではいささかおさまりが悪く、支障をきたすからだ。

男物でも可愛いデザインのものがあればぜひ着けてみたいが、今度は家族、特に母親の手前支障がきたす。
息子が女物の衣服を身に着ける趣味を持っているなど言えるはずがない。
知っているのは姉とその夫、義理の兄だけ。
そしてツカサだった。

(ツカサ…、あ……)

名前を思い浮かべただけで胸がキュンとする。
ミチルは俯きうっすら頬を染めた。
我ながらオトメ回路は健在だと思う。

ツカサは同じ学校の一つ年下の男子で、将来パティシエになると今この店で修業をしている。
ちょっと頼りないところはあるが、ミチルの大っぴらに人には言えないこの趣味も、甘いものが好物でケーキならホール丸ごと平らげてしまう大食なところもすべてをひっくるめて好きだと言ってくれた。

つまり恋人。

理解者で協力者、これ以上ない存在だ。
何か悔しくて面と向かってツカサに言っていないが、身も心もしっかり恋しているのだった。

ツカサに抱き締められてキスをされたら、体がすぐに熱くなって呼吸がままならなくなる。
このときは自分が男だと否応なく実感させられる。
熱くなった体はすぐに反応し出して、下腹部のものがずきずきと硬く張りつめていくのだ。
そして最奥が疼き出す。

(やば……っ)

これからバイトに入るというのに。
隣の部屋の厨房には義兄がいて、もうすぐツカサもここに来るというのに。

ツカサとの行為を思い出しただけで、ぞくりと背筋に痺れが走り、スカートの下で男のシルシが形を変えようとする。

(何さかってんだよ、ぼくは)

これでは二人きりになるとしかけてくるツカサをバカにできない。
これが若さというのか。

いや、そもそもこれのせいだ。

ミチルはこの目の前にあるものに責任転嫁のごとく意識を切り替える。
これが普通に女性用下着ならこんなに考え込まない。
何といっても最大の問題点はそれだ。
女性の特に敏感なところを覆うはずの部分。
ここが左右に分かれて脇と同じようにリボンで結ぶ仕様になっているのだ。
だからリボンを解けば自然に切れ目が口開く。

(こんなに見た目可愛いのに。反則だよ)
 
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