drama
□本当に大切なものは…
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「さやかぁ…」
「んー…?」
今日終わらなかった仕事を持ち帰り、あらかた終わらせ最初チェックをしているとなつみが私の肩に顎を乗せて来た。
「どうしたの?」
なぁんて…本当は分かってるけど分からないフリ。
…だって、その方が面白いじゃない?
…私が。
さやかはそんな意地の悪い私にムスッと不機嫌な顔をして口を尖らせる。
またまた可愛いアヒル口しちゃってと私は苦笑した。
「さやか、寂しい。構って」
「何その某ドラマのロボットみたいな話し方…」
「…ぱふ?」
か、可愛い…
なんか年齢的に無理があるけど、小首を傾げちゃって可愛い…
なつみって童顔だから、こーいう仕草が何故かハマっちゃうのよね…怖いわ。
「なに?構って欲しいの?さやかが構わないとなつみ死んじゃう?」
「うん、寂しい。寂しくて死んじゃう」
そんな真顔で言われるとさやか照れてしまうんだけど…
というか、半分冗談で言ったのに…真面目に答えちゃう辺り職業病よね。
「もうちょっと待ってくれる?あとちょっとで終わるから」
なつみの頭に手を置いて頭を撫でると、なつみはうぅ〜…と唸りながらお預けをくらった犬みたいに頷いた。
「おっけー。直ぐ終わらせるから」
私は資料を捲り、不備がないか赤ペンでチェックしていく。
全てチェックし終わると、ふぅーっと息を吐いて背伸びをすると資料と赤ペンを机に置く。
「なつみ?」
後ろを振り向くと満面の笑みを浮かべたなつみが私の背中に抱き付いていた。
「あんた…また私のワイン飲んだでしょ…」
「えぇ〜?なんのこと〜?」
嬉しそうに私幸せですみたいにニコニコして、笑って誤魔化してもお酒のニオイでバレバレだっての…
私がなつみの頭を撫でると、なつみはゴロゴロと甘える猫のようにすりすりと私の背中に頬を擦り付けた。
ほんと…なつみって犬なんだか、猫なんだが…
柴犬みたいに真面目で賢いのに、白猫みたいに甘えん坊で…
「どうして欲しいの…?」
私の言葉になつみはスルリと腕を私の首に回して来て、ゆっくりと顔を近付けた。
「…言わなくても分かってるでしょ…?」
ほら、また妖艶な顔をして私を誘う…なに、発情期…?
「え?ごめん、全然分かんない」
また私は何も分からないフリ。
「だからぁ…」
なつみが私の耳元に顔を寄せてボソッと呟いた。
「しよ…?」
「なにを…?」
「セックス…」
そんなヤらしい顔して私を誘って…
ほんとになつみは盛りの付いた牝猫だね。
スッとなつみの頬に触れて、その唇にゆっくりと自分の唇を重ねた。
「んっ…」
軽く口付けたのが気にいらなかったのか、なつみは私の歯を舌でこじ開けて舌を私の舌に絡めて深く口付けて来た。
酔うとキス魔になるなんて…
…ほんとに可愛いよね。
私は目を細めて口付けに応えるとゆっくりとなつみをソファに押し倒した。
「修二くんに…言えないよねぇ…」
私となつみがこんな関係になってるなんて…
「もう…言わないで…」
なつみは私の口をキスで塞いだ。
修二くんが悪いんだよ…?
修二くんがなつみを寂しい思いさせちゃうから…
本当に大切なものは…
大事に籠の中に閉まっておくものなんだから。
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