AKB48U

□Saying that I "like" it…
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出逢いは…運命…?

それとも……必然…?


なら、私達はどちらになるのかな…?



『Saying that I "like" it…』



「ねぇねぇ」

「んー?」

「好き」

「さえも好きだよー」


ピトッとお互いの肌が密着して寄り添う肩、片方ずつのイヤホン、イヤホンから聴こえてくるK-POP。


シャカシャカシャカ…


あっちゃんが最近お気に入りだと言うグループの曲が流れていた。


ペラリ


親指と人差し指でページを摘んで、雑誌のページを捲る。


時期的にどの雑誌も取り上げる内容は同じで…

毎年一年に一度やって来る某お菓子会社のいん…もとい甘い日に向けての特集記事。

トリュフ、ガートーショコラ、ヌガー、マフィン、クッキー…今年はどーするかなぁ…なんて。


なんか見られてる感がしたから顔を上げたら…あっちゃんがさえの顔をニコニコ笑顔で覗いていた。


毎度あっちゃんに会う度、「好き」「私もー」みたいなこんな感じで…

いつも通り答えてまた私は視線を雑誌に移した。


あっちゃんに見つめられるのは恥ずかしいし…まともに目なんて見れないもん…。


「じゃぁ…さ…」


クィッとあっちゃんがさえの服の袖を掴む。

躊躇ってるようなあっちゃんの言い方…


「ん?」


読んでいた雑誌を閉じて、あっちゃんの頭を撫でる。

柔らかい髪質が触れる度にふわふわして気持ちいい。

あっちゃんはお菓子みたいな甘い匂いがした。


「…付き合わない?」

「ん、いーよ」


……ん?

付き合わない…?


マジ勢い余った。


「ちょっ…あっちゃん!それ、どういう意味…で…?どういう意味の付き合う…!?」

「どういうって…サランヘヨってことだよ?」


あっちゃんの細くて華奢な肩を揺らして言うと、小首を傾げてサラリと恥ずかしいことを言うあっちゃん。


「サラン…ヘヨ…」


それは馬鹿なさえでも分かる…

『愛してる』だ。

「like」じゃなくて「love」

つまり恋愛感情。


「好き」だから付き合う…?


それは…まぁ、そうなんだろうけど…


私達は……


「秘密だよ?」


あっちゃんはフッと笑って、柔らかそうな形の良い唇の前に人差し指を持っていき、ニコッと微笑んだ。



『恋愛禁止条例』


それは「AKB48」の鉄の掟。


片思いはOKだけど両思いは禁止。

恋をすることはいいけど、付き合うのは駄目。


アイドルなんだから当たり前のことなんだけど…

変なルールだなぁと思う。


それなら、いっそのこと…
片思いも禁じてしまえばいいのにって思う。


優子なんか好きな人いますって堂々と宣言しちゃってるし…


あっちゃんなんか思春期の頃から恋愛禁止だし…。



もし、バレてしまったら…


…やだやだ考えたくもない。


ブルブルと顔を横に振る。


何、言ってんだあっちゃん。

演技とかじゃないよね…?

え?ドッキリとかそんなじゃないよね…?


キョロキョロと周りを見渡したけど、カメラは無さそうだし…

それに…いつになくあっちゃんの顔が真剣なんですけど…


「それ、ま、マジぃ?マジで、言ってんの…?」

「…マジだよ」


ああ、やっぱ…
予想通りの反応…


「…さえちゃんは私のこと嫌い?」

「うぇっ?そんな訳ないじゃん!ない!ない!ない!ぜぇ〜ったい…ない!好きだよッ!」


悲しそうに下を俯くあっちゃんに必死で弁解する。


嫌いな訳ないし、好きだ。

さえはみんな大好きだもん…


あっちゃんに対する「好き」が…「love」なのかよくわかんないだけど…


「なら、いいよね?」

「え?あ…う、うん」


ズイっとあっちゃんの整った綺麗な顔が至近距離にあって、思わず首を縦に振ってしまった。

「やったぁ……嬉しい…っ」


顔をくしゃとさせて嬉しそうに笑うあっちゃんにドキッとしてしまった。


あれ?あっちゃんってこんな可愛いかったけ?


こんなに…笑顔が可愛いかったけ…?


ドキドキドキドキ


さえの心臓はどんどん高鳴っていく。

あっちゃんに聞こえちゃうんじゃないかってくらい心臓がうるさい…


「さえちゃん、だぁい好き」

「ふへっ…!?」


…ヤバい。
なんかあっちゃんが可愛い過ぎて変な声出た。ヤベェ…。


「ねぇ…さえちゃん…?」

「なっ、なに…!?」


あっちゃんの顔がまた近くて、ますますさえの顔はたこさんウインナーみたいに赤くなっている。


「キス…しよっか…?」

「えっ…えっと…う、うん」



この胸の高まりが恋と言うのなら…



それが「好き」と言うのならば…喜んで。





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