AKB48U
□20110130〜atsumina〜
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「あっちゃん、あっちゃん」
「ん?」
「神社、行かない?」
「神社?」
「うん。遅くなったけど…初詣、行きませんか?」
朝早くからの撮影、空き時間が出来て携帯を弄っていたら、たかみなが私の服の袖を引っ張って上目遣いで言ってきたものだから私は2つ返事でOKした。
そう言えば、バタバタしてて初詣に言ってなかった…
もう1月も終わるのに…
忙しかったということは嬉しいことなのかな?
「うわっ、さむっ…」
「うん、ゆきりん降ってるし」
「ほんまやぁ〜ゆきりんいっぱいおる!!」
今年何回めかの雪にはしゃぐ小さな子供もといたかみな。
その鼻は寒さで赤鼻のトナカイならぬチョッパーみたいでなんか可愛いかった。
はしゃぐたかみなを見てたら連日の撮影の疲れなんて吹き飛んでしまうくらい…私はたかみなの笑顔が好き。
3日間会えないだけで、私の口数が減っちゃうくらい。
たかみなが好き…大好き。
なのに…私とたかみなはにゃんにゃんや優ちゃんみたいにあまりベタベタしてなくて…
ベタベタしようとすると、たかみなは恥ずかしいのか…キャプテンだからか分からないけど…
ベタベタすることを嫌がる。
もっとたかみなに触れたい。
抱き締めたい。
「好きだよ」って言って、照れて顔を真っ赤にするたかみなが見てみたい。
「あっちゃん?」
鳥居をくぐった所で私は歩いていた足を止めた。
どうしたの?と大きなリボンが私に振り向く。
「たかみな…」
「あっちゃん?なした?」
トコトコと私の所まで近寄って来たたかみなの小さな手を私はギュッと握り締めた。
「ふぇ!?」
「手、繋いで行こう?」
「あ、あっちゃん!?」
「大丈夫だよ。撮られてたりなんかしないから」
手を握っただけで顔を真っ赤にするピュアなたかみなに私は笑いかけた。
「いや、ちょっとびっくりしちゃって…」
「そう?」
「だ、だって…繋ぎ方が…」
そこまで言って、たかみなは耳まで顔を真っ赤にしてモゴモゴと口をつぐんでしまう。
「恋人繋ぎ…?」
「う、うん…」
「別に普通だよ。ほら、行こう?」
渋るたかみなを私は強引に手をひいて境内に入った。
「たかみな、ほら真ん中」
「あ、うん」
日曜日の昼間と言っても参拝する人は結構多い…
隣に並ぶたかみなを真ん中の大きな鈴がある列に並ばせて、たかみなの顔を覗き込む。
「何円にした?」
「48円!!」
「なにそれ」
小さな手の平には十円玉が4枚に五円玉1枚、一円玉が3枚…
15円とか115円とかじゃなくて、48円なあたりたかみならしい。
「48円って…」
…AKBが本当に大好きなんだね、たかみな。
身長と誕生日が「48」でAKBに受かって…
年上のメンバーに甘えてたたかみながリーダー任されるようになって…
誰よりも一生懸命に練習して、誰よりもAKB48が大好きなたかみな。
好き過ぎて、私よりもAKBを取ってしまうたかみな。
なんだか少しだけ、仕事熱心な夫を持つ妻の気持ちが分かる気がする…
「たかみな?」
「んー?」
「なんてお願いした?」
「AKB48がみなさんにもっと知って貰えますように、ドームライブが出来ますように、もっともっとAKB48が大きくなりますように、あとソロデビュー出来ますように…」
「AKBばっかじゃん」
「あ、ほんまや」
多分、無意識に自分よりAKBを優先させてしまうんだろうね…
たかみなはいい子だから、たかみなはたかみなという生き物だからって秋元先生が言うくらいだもん。
私が笑うとたかみなも笑った。
「あっちゃんは?」
「美味しいご飯がいっぱい食べれますように」
「あっちゃん!?ご飯好き過ぎですやんッ」
なんてことは冗談で、
本当は…
ずっとたかみなと一緒にいられますようにって願った。
「あ、おみくじー」
たかみながキラキラとおもちゃを見つけた子供のように目を輝かせている。
その先にはたくさんのおみくじの箱。
おみくじの箱を指差して、私の服の袖をグイグイと引っ張るたかみな。
ほんと…可愛い。
「いっぱいあるけど、なにやるー?」
おみくじと言っても振るおみくじや血液型、恋みくじ、色々な種類のおみくじがある。値段も百円とか二百円とか違う。
「ふつーの」
「あ、じゃぁ私恋みくじー」
たかみながノーマルのおみくじの箱を指差したから、ボケてみたら恋愛禁止やんーって突っ込んでくれた。
「あれ?そう言えば…たかみな前ひいてなかった?」
「あれはもう…なかったことにしたい…」
「ドンマイ…」
正月の朝の番組、新年早々不吉で放送事故かと思ったよ。
百円玉を賽銭箱に入れて箱の中に手を入れる。
私は初めに掴んだおみくじをひいて、たかみなは漁った後唸りながらおみくじをひいた。
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