AKB48U

□リボン型ウイルス
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高橋みなみ、愛称はたかみな…


今でこそチームAのキャプテン、そして全体のキャプテンをしているたかみなだけど…


陽菜はユニットを組むまで、たかみなとまともに話したことがなかった。



だからユニットを組むと言われても…正直ピンと来なかった。


ノースリーブスってなに?

なんでお風呂の日に秋葉原飛び出すの?…寒い。


とか冷めたことしか考えてなかった。



年下、というか同じ年代はともかく…年下は絡み辛かったし、面倒くさかったから聞かれたことだけてきとーに相槌を打ってた。


だけど どうしちゃったんだろう?


知らぬ間に恋をしてしまった。

何がきっかけだったのか、入口思い出せないよ。



真面目で頑張り屋で、時たまに視界からフェードアウトするくらい小さくて、いたの?と聞いたらピョンピョン跳ねていたよ!と怒って…馬鹿みたいにリボン付けてるたかみなが凄く愛おしく思えて…



……ああ、陽菜はたかみなが好きなんだなぁと思った。



「けほっ…」


「にゃんにゃん、大丈夫?」


「…大丈夫じゃないから寝てんじゃん」


「あ、そっか」


最近忙しくて疲れから風邪をひいた。

たかみなはなんとかは風邪をひかないから、とコンビニのビニール袋片手に私の看病をしに来てくれた。


別に風邪なんて寝てれば直ぐに良くなるのに…


お節介とか思いながらもそのお節介が嬉しかった。身に染みた。


AKBとしてもノースリーブスとしても一緒だったから、たかみなも忙しい筈だし…自分の時間を削ってまで来てくれたたかみなの行動が嬉しかった。


「ポカリここに置いてあるからね。あ、熱下がったかなぁ…」


「ん…」


ひんやりと冷たい小さな手が私の額に伸びて優しく触れた。


たかみなの手は子供みたいに小さい。

熱に浮かされているほってた体には…その冷たさが気持ちよかった。


「ちょっと失礼…」


たかみなはひとこと謝ってから額の冷えピタを剥がし、自分の額と陽菜の額をコツンと当てた。


たかみなの男みたいな中性的な顔が近付いてきて、キスするんじゃないかってくらいすごく近くて…たかみなのくせに、たかみななんかにドキドキした。



「たか…みな…?」



「ん〜…まだ熱下がらんやん」


むにっとたかみなの両手が陽菜の頬を挟む。


「にゃんにゃん、アヒル口〜♪冷えピタ変えておくね?あと、お粥作っておくから」

よいしょと若いくせに親父みたいな声出してキッチンに向かおうとするたかみなに、小さく「あ」と自然に声が漏れて…気が付いたらたかみなの服の袖を掴んでいた。



「にゃんにゃん…?」



「…って……」



「んぅ?」



「……まって…」



「にゃんにゃん…?」



小首を傾げて陽菜の頭をくしゃりと撫でるたかみな。


いつもなら陽菜がたかみなの頭を撫でるのに…なんだか悔しい。


「…寝るまでそばにいて…?」

「…ッ!?」


「もう少しこのままで…」



上目遣いでたかみなを見上げ、ギュッとたかみなの腰に腕を回して抱き付く。



「にゃんにゃん…」


「ん…」



ハート型ウイルスにやられちゃったみたい


どんな注射も効かない


ハート型改めリボン型ウイルスに…


リボンのことばかり考えてしまう


何も手に付かないくらい



「りょーかい。そばにいるよ」

「うん…」


リボン型ウイルスは性格変えちゃうみたい


たかみなに熱上げていく


息が苦しくなる


頭もボッーとしてしまって


それが恋だとか、愛だとか気付かない



「たかみな…たかみな…」

「ん〜?」


大きな熊のぬいぐるみを小さな子供が抱き付くようにたかみなをベッドに座らせて後ろから抱き締める。


小さな肩口に顔を埋めたら柔らかな髪が私の頬をくすぐった。


「ん…」


「ジャンプ読もッー」


買ってきた漫画を取り出して読み始めたからつまんなくなって重い瞼をゆっくりと閉じた。



風邪は治っても…
このリボン型ウイルスは一生治りそうもない



まあ、治す気もないんだけど…



新曲の小道具がリボンではしゃいだのはここだけの話。



リボン型ウイルスは強力だね。




fin.

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