AKB48U

□泣ける場所
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今日も明日も明後日も


キラキラパワー☆全開


えれなは此処、AKBを昨日卒業した。


「もうないんか…」


赤い絨毯が敷き詰められたこの空間の壁に立てかけられていた写真はもうない。


日に焼けた後が残った壁に触れてなぞった。


「なぁんも相談せんと卒業しおって…」


有華には相談しても良かったやろ…?


えれなと一緒に過ごした短くて長かった四年間のことをいろいろ思い出して、なんか目から汗が出て来おる。


「結局…なぁんもしてやれんかったなぁ…なぁ〜んも…言えへんかった」


ズルズルと壁にもたれかかって、その場に座り込む。


「好きって…言えへん…かった…」


たった2文字の言葉が…


「アホや…」


えれなが卒業する前に言えたら良かったのに…


今更後悔しても…遅いねん…



「あ〜あ…」


体育座りをして膝を抱く。


「有華…」


「智…?」


「なにしてん?」


「それは智の台詞」


智が有華の隣に腰を下ろし、有華の頭に手を伸ばして撫でた。


「見んなや…」


ふいっと視線を逸らし、手の甲で涙を拭う。


「はい」


「ん」


「有華?」


「なんや
…?」



いつもより智の声が優しく感じた。


相変わらずの甘い声だけど…
今日はなんだか優しい声に聞こえた。


「泣いていいんだよ…?」


「…ッ」


「有華は強がりだからね…でも辛い時や悲しい時は…泣いてもいいんだよ…?」


「智…」


智の温かい手が有華の頭を優しく撫でる。

いつもなら有華が智の頭を撫でるのに…


「有華…」


俯いていた顔を上げたら、智が私の頭を抱え、抱き締めていた。


「智…智…」


「うん…」


有華は子供のように泣きじゃくった。


智はただ私を抱き締めて、私の頭を優しく撫でてくれた。


智は有華が泣いてる理由も知ってる。


有華のえれなへの気持ちも…


「かんにんな…」


「ううん、大丈夫…」


「今だけは…泣かせて欲しい…」


「うん…」


ギュッと智の腕を掴み、智も私を抱き締める力を強めた。


あったかい…


「泣ける場所があるんわ…えぇことやな…」


有華の小さな呟きに智はただ頷いて、2人して抱き合った。







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