AKB48

□AKBバトル・ロワイヤル〜あなたがいてくれたから〜
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20XX年…日本国は壊れた。


完全失業率15%突破、失業者1千万人、不登校生徒80万人…自信を失った情けない大人達は罪もない子供を恐れ、1つの法案が可決する。


揉み合う報道陣でごった返す現場にしどろもどろになりながら新人らしきレポーターが現場の様子を伝える。


レポーターはこれが初めての仕事だった。


「全国の高校3年生4万8千クラスの中から対象となりましたのは、神島学園第四高等学校3年E組でした!」


レポーターはごくりと溜まった唾を一気に喉を鳴らして飲み込み、レポートを続ける。


「今年は例年にもまして大変白熱したゲーム展開がありました……あ、見えました!今、見えました!あちらです!」


レポーターがカタカタと震える人差し指で指差した方向にカメラがバッと向けられる。


眩しいフラッシュの嵐の中…
迷彩服の屈強な兵士に囲まれ、軍用ジープで現れる血に濡れたボロボロの制服の髪の長い少女にフラッシュが一斉にたかれる。


「今、今、出てきました!優勝者はなんと…女の子!女の子です…!2日と7時間48分の歴史的な激闘を勝ち抜いた今年度の優勝者は……女の子でした…!」


下を俯いていた少女はゆっくりと顔を上げ、少女はニタッと歯を見せて口角を上げ不気味に笑った。


「あっ…、笑っています!笑っています!少女は笑っています!少女は今、ハッキリと我々に向けて笑いましたっ!」


少女の矯正された黄色い歯が怪しげにキラリと光った。


その歯を真っ赤に染めて…


『AKBバトル・ロワイヤル〜あなたがいてくれたから〜』



バトル・ロワイヤル法が可決され、国民的アイドルグループを乗せたバスはある島を目指して高速道路を走る。


今や国民的アイドルとなった約二百人を束ねるリーダーとなったAKB48のメンバー、高橋みなみは頬付きをしながら移り変わる景色を見ながら考えていた。

シャカシャカシャカ


iPodから自分達、AKB48が歌っている曲が流れている。


この世界は狂っている。


いきなり訳の分からない法案が可決され、自分達とそう変わらない子供達が大人達の決めた馬鹿馬鹿しいルールでその手を血で真っ赤に染め、殺し合いをしている。



僕らは夢見ているか?


未来を信じているか?



確かに私達は夢を見ているし、未来を信じている。


でも、この世界は確実に狂っていた。


私達は新曲のプロモを撮るから、と行き先も告げられることもなくバスに揺られていた。


新曲は全員参加らしい…。


みなみは少しでも寝ておこうと瞼を閉じた。


後部席でプロモに出演する山ちゃんを囲み、プチじゃんけん大会に盛り上がる車内。


所々、道路脇に軍用ジープが止められており、ガスマスクに完全武装兵士達がメンバーの乗ったバスを鋭い目で凝視している。


みなみは騒がしい車内に閉じていた瞼を開け、窓からたくさんあるジープを不審に見る。


釣られて山ちゃんも異様な兵士達を見て変なの、と首を傾げた。


気を取られる山ちゃんにメンバーは「山ちゃーん」の声。


「ごめんごめぇーんっ」


後部席に座るムードメーカー大島優子とゲンキング宮澤佐江が騒いでいる。


「ん…?」


みなみは自分の肩に重みを感じて、いい匂いのする香水をつけた隣の席に座る人物を見た。


「あっちゃん…?」


「たかみな…私達だけは未来を信じていよう…」


片方ずつつけたイヤホンから音楽を聴いていた敦子がギュッとみなみの手を握り締めた。


「うん…」


みなみは真剣な表情で頷き、握り締められた敦子の手をギュッとを握り返した。


少女達は生きるために殺し合う。


最後の1人になるまで…







「誰もけてくれない…」






れ!」






対…負けない…!」






「人そんなもんよ」






う側に回っただけ」





ねよ」






「生きてろう」











約束よ…」






to be container…






 

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