AKB48
□ファーストキスはお前がいい。
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「サド、キスしろ」
病室に来てから閉口一番、私を見上げて優子さんはマジ顔でそう言った。
「優子さん?」
「サド…」
ギュッと制服の袖を握り締めて、恥ずかしそうに顔を真っ赤にして俯く優子さん。
いきなりどうしたんだろう?
「…まだなんだよッ」
「は…?」
「まだ…したことないんだ」
「何を…」
「ちゅーだよ、ちゅー」
ちゅー?
「だぁーからっ…キスだよ、キス!まだなんだよッ」
えっーと、ちゅーがまだしたことがない→ちゅーしろ(命令)→初めてを奪う
「ゆ、優子さん…マジですか?」
「…マジだよ。わりぃかよっ。笑いたきゃ笑えばいいだろっ?」
「いや、そんなことは…そうゆーのは好きな人とやるものですよ?」
「アホかお前わ…」
優子さんは怒ってるのかムッとした表情を見せると、私の額に一発デコピンをくらわした。
「…サドの…鈍感……」
「優子…さん…?」
「おめぇが好きなの!だからちゅーしろって言ってんのっ。好きでもねぇ奴にちゅーしろ、なんて言う馬鹿がいるかよッ!?」
トリゴヤあたりは言いそうですけど…
「…兎に角、ちゅーしろ」
「え、はい」
「んっ…」
優子さんはギュッと服の袖を掴んで、目を瞑る。
握り締めた手が
小刻みに震えてる。
「優子さん…しますよ?」
「…早くしろっ」
「はい…」
優子さんの両頬に手を添えて、ゆっくりと顔を近付ける。
白く綺麗な優子さんの顔はりんごみたいに真っ赤になっていて、
私はクスリと微笑むとゆっくりと優子さんの唇に自分の唇を軽く押し当てて、口付けた。
「んっ…」
柔らかい唇の感触が気持ち良い。
舌を絡めたらもっと気持ち良いかも?
舌を優子さんの歯の間に滑り込ませて、ゆっくりと歯列をなぞるように舐めるとするりと舌を差し入れ、優子さんの舌に絡めた。
「んんっ…」
ギュッと袖を掴む力が強まる。
私はそれを横目で見ると、優子さんの舌を執拗に絡めた。
優子さんの舌柔らかくて気持ち良い…。
優子さんは鼻で息をすることが慣れないのか、トントンと私の胸を叩いた。
「…ぷはっ…はぁはぁ…」
2人の間に銀色の糸が引く。
「すいません、優子さん…つい…」
「どっから息すんだよっ…」
「鼻からです」
「…OK…来いよ、サド」
「優子さん……?」
「私のファーストキス奪った覚悟……出来てんだろ…?」
私の肩をそっと掴んで、ちょっとだけ爪先立ちするとちゅっと軽く口付けられた。
「優子さん…勿論ですよ」
そして、私はまたキスをした。
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