その他
□笑顔
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『友達みたいじゃない?』
『そうね』
どこかで私はこの子に会っていた気がした。
銀色の長い髪に綺麗な琥珀色の瞳。小さな背。白い肌。
「あの…どこかで会ったことありませんか?」
人が行き交う街の中で見掛けた彼女に私は話し掛けた。
「奇遇ね。私もそんな気がしたわ」
こっくりと頷き、抑揚もなく話す彼女。
「私、仲村ゆりって言うの。あなたは?」
「かなで。立花かなで」
「かなでちゃんね。友達にならない?」
「うん。いいわよ」
きっかけはそんな感じで、私とかなでちゃんは出逢った。
世間知らずなかなでちゃんに私は色々なことを教えた。
かなでちゃんはあまり笑うことなかったけど、かなでちゃんはよく笑うようになった。
「ゆり」
かなでちゃんからそう呼ばれるのが私は嬉しかった。
「かなでちゃん」
奏でる、本当にいい名前だと思う。綺麗な名前。
「大好きよ」
「うん。私も好き」
かなでちゃんは笑った。
私も笑った。
かなでちゃんは私の一番の宝物。