その他

□守りたいもの
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初春が風邪をひいた。

御坂さんと白井さんが出て行った後、2人っきりになって…なんだかちょっと2人とも口数が少なくなった。

御坂さん達と出会ってたから、日常が大きく変わった。

相変わらず、ジャッジメントは忙しいし…御坂さんはいろいろと巻き込まれてるし。

自分は無能だから。

事件に巻き込まれることなんてないと思っていた。

でも、お母さんは御守りを私にくれた。本当に古典的だと思う。

「佐天さん?」

花の飾りを付けた初春。

私は彼女と出会ってから、どれだけ救われたことだろう。

この細くて小さな背中に…

「あ、ごめん」

お湯で濡らしたタオルで初春の背中をこする。

いつの間にこんなに大きくなったんだろう。

白い背中は前よりも少しだけ大きく見えた。

「初春…」

「佐天さん?」

初春もジャッジメントなんだ。
いつ何が起きてもおかしくはない。

そんなことは頭でもわかっていて…でも、私の不安は尽きることがない。

「うい…はる…」

ギュッと私は初春の白くて小さな背中を抱き締めた。

「ちょっと佐天さん…!?」

私は彼女の背中の重荷をどれほど軽くしてあげられるだろう。

せめて、私に能力があ
ればと…私は下唇を噛み締めた。

肩口に顔を埋める。

ふわりと

初春の花の香りがした。

「大丈夫です。佐天さんは私が守ります」

違う。私が初春を守りたいの。

声にならない叫びを私は噛み殺した。

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